レッサーパンダの帽子をかぶった男が、女子短大生(19)をメッタ刺しに…頭にぬいぐるみ、左手にフランスパン、1週間前から目撃されていた異様すぎる行動 なぜ事件は防げなかったのか 【レッサーパンダ帽殺人事件から25年】

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目を覆うばかりの惨状

 男はそのまま隅田川沿いを逃げ、途中で包丁を堤防沿いの植え込みに捨て、かぶっていたぬいぐるみ帽子を川と逆方向に投げ捨て、さらにかけていたメガネも捨てている。

 一方、犯人が逃走したあとの現場の惨状は目を覆うばかりだった。

「可哀相でとても見ていられませんでした」

 とは、駆けつけた近所の住民の一人だ。

「1秒おきぐらいにピクッ、ピクッと身体が痙攣するんです。救急車が到着して運ばれる寸前、女性はピクンッと大きく電気ショックを受けたように痙攣したあと、ぴたっと動かなくなりました。最初は目も口も半分開いて微かに息をしていたのに……」

 現場からすぐの交差点には交番もあった。走れば、わずか10秒足らずの距離である。

「あんな近くにいながらどうして犯人を捕まえられないのか。みすみす逃げられるようじゃ交番なんていらねえよ」

 近所の住人の口からは怒りの声がついて出る。犯人は警察の緊急配備をあざ笑うように、いずこともなく消え去ったのである。

恋人の応援に

 亡くなった女性は板橋区在住で女子短大被服科に通う2年生だった。両親と兄の4人家族。当日は、昨年(2000年)から付き合っていた恋人が現場から数百メートル離れたスポーツセンターでブラジリアン柔術の大会に出場するのを応援にいく途中だった。

「(被害女性は)その彼と滝野川のファミリーレストランのバイトをやっていて知り合ったんです。彼は、葬儀でも(被害女性の)棺をかつぐはずだったんですが、それもできないほど憔悴していた。お通夜の晩も遺体の前にずっと座っていたそうです。明るくて、誰からも好かれる人だったのに……」(友人)

 高校時代の友だちもいう。

「高校の時から成績がよかった。クラスの中を成績順に3つのグループに分けて授業をするんですが、彼女はいつも一番上のグループにいました。1年の時には、バトン部に所属。みんなをグイグイ引っ張るのではなく、ついていく感じ。いつも明るくて、(被害女性を)悪くいう子はいないんじゃないかな」

 カラオケでは鈴木あみや倉木麻衣を歌い、服飾デザイナーを夢見る陽気な被害女性の未来は、こうして無惨に断ち切られたのだ。

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