昭和3年からデザインを変えない「セーラー服」が人気! “広瀬すず”も着た「常盤木学園高校」の制服が愛され続ける理由 「当校の歴史の生き字引のような存在だと思います」
モデルチェンジしなかったのは大きなメリット
――制服のモデルチェンジブームはたびたび起きています。1980~90年代には、いわゆる伝統校でも、セーラー服がブレザーに変わったりした例が少なくありません。常盤木学園のなかでは、変えるという話は出なかったのでしょうか。
植木:当時、私はまだ教員として務めていないので、聞いた話になりますが、“変える必要性がなかった”から変えなかったと聞いています。つまり、変えてほしいという声が、周囲から挙がらなかったのです。
当時は既に宮城県内でも知名度があり、支持されている制服だったのは間違いありません。そして、人気のあるなしという枠を超えて、学校のアイコンとしての役割を果たしていた部分もあったようです。なので、そのままになったというのが本当のところだと思います。
――その時代に制服を変更した学校が、最近になってまたデザインを変えてしまった例もあります。そう考えると、流行に流されなかった常盤木学園の選択は正しかったように思います。
植木:そうですね。変えなかったのは大きなポイントですし、そのおかげで当校が存続できている面もあると思うんですよ。当校には普通科のほか、東北では珍しい音楽科があります。音楽科のみ男子の入学を認めていますが、それでも10名ほど。事実上の女子高として認知されています。
ところが、ご存じのように、女子高の経営はどこも厳しい。公立、私立を問わず、共学化するケースが全国的にも相次いでいます。ところが、ありがたいことに本校は入学希望者が減っていないんですよ。
――それは凄いですね。
植木:もちろん、制服だけがすべてとは言いませんし、複合的な要因はあるでしょう。しかし、セーラー服が女子高としての知名度を高め、入学したいと思わせる要因になっている部分はあるのではないでしょうか。
守るべき点は守り、とり入れるべき点は取り入れる
――制服を今後、モデルチェンジするようなことはありますか。
植木:今のところ、予定はありません。そのかわり、時代に合わせて制服の周辺アイテムは充実させています。カーディガンやポロシャツ、ジャケットなどを導入していますし、スカートの代わりに着用できるスラックスも14~15年前に導入しました。いろいろな着こなしができるようにしていますね。
――女子生徒の制服といえばスカートというイメージでしたが、近年はスラックスやズボンを選べる例が増えています。常盤木学園は14~15年前ということで、かなり早い事例ですね。
植木:スラックス(注:当時はパンタロンと呼んでいた)は、生徒のほうから要望があったので実現させたものです。当時の校長に話をしたところ、「セーラー服は海軍の制服を取り入れたもので、パンツスタイルがあってもおかしくない」と言われ、導入しました(笑)。
スラックスを選んでいる生徒は決して多くはないですが、それでも多い学年で4~5名、平均して2~3名ほどです。宮城県内の中学生はスラックスを穿いている女子生徒が増えているので、かつてよりも抵抗感はないのかもしれませんね。
――守るべき点は守り、取り入れるべきものは取り入れている。
植木:当校の創立者がもともと銀行を経営していた資産家でして、女性の活躍を旗印に作った学校です。“自由と芸術”を校訓にしているように、女性の自由の拡大を当初から掲げているので、先進的な考えも根付いているのだと思います。当校にとって、制服は“創立の精神を具現化したもの”だと考えています。
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