「尖閣諸島は中国領」とAIが答えるように… 中国の偽ニュースサイトの狙いは「他国のAIに偽情報を“事実”と認識させること」
「他国のAIに“事実”だと学ばせる」
再び大澤氏に聞くと、
「日本語は複雑な言語なので、影響工作は難しいとされてきました。ところが生成AIの進化で学習が進んで、今回の衆院選にも介入を疑われる事例が相次ぎました。中国はAIに偽情報を学ばせることで拡散させようとしています。その典型が一時期、話題になった偽ニュースサイト。NHKから全国紙の読売、朝日、そして実在しない名前の地方紙などを装ったサイトを作り、中国に有利なフェイクニュースを報じて欧米など他国のAIに“事実”だと学ばせるのです」
閉鎖されたが、本誌(「週刊新潮」)をもじった「Shincho News」まで作られた。制作者の狙いは何なのか。
「人々が真実を知る上で、生成AIに何を学習させるのかは非常に重要で、その教材として偽サイトは作られたと思われます。中国は戦略的に自国に有利な偽情報を拡散させようとしている。現段階で、多くのAIは“尖閣諸島はどの国の領土か”と尋ねると、“日本をはじめ中国、台湾が領有権を主張しています”など中立的な答えを出しますが、すでに中国系AIだと“中国領です”と即答するありさまです」(同)
前出の峯村氏は、こんな懸念を口にする。
「AIの急速な進化で、今後は中国からの投稿も見分けることが難しくなると思います。蔡英文政権時代の台湾では、『反浸透法』が制定されて、中国の影響工作への防御はかなり進んでいます。日本は学ぶべき点が多いのですが、台湾で非常に増えているのが若者の間で人気のショート動画SNS『TikTok』を舞台にした工作です。あるユーザーが“台湾は中国と一緒になった方がよい”と発信すれば、一般人を装った中国側のユーザーから投げ銭がもらえるのです」
しかも日本円で1万円前後と相場より高いという。もらったユーザーはうれしくなって、自ずと中国寄りの投稿を続けるわけだ。
「そうやって“餌付け”された投稿者を100人、200人と増やしてインフルエンサーに仕立てることができれば、あっという間にSNSは親中的な投稿で埋まってしまう。かような中国の影響工作の実態をつかみ国民に知らせていかないと、取り返しのつかないことになりますよ」(同)
人間の認知機能の支配をもくろむ中国では、「制空権」ならぬ「制脳権」という概念が定着しつつあるという。高市政権肝いりの情報機関は、したたかな中国にどう抗していくのだろうか。
前編では、中国の「情報工作部隊」の規模や、偽情報の見分け方などについて、専門家に解説してもらっている。







