「報告書を50万円で買って頂きたい」開業医200人以上に“脅迫状” 雑な文面でも金を払った事情は「80年代の黒い医療」か
なぜ福岡で200人?
これが2月18日付の読売新聞に、《医師二百人に脅迫状》と書かれた書状の内容だった。その記事では、脅迫状が配られたのは福岡県下の医師200人となっていたが、3月22日付の記事では、都内の開業医十数人にも同様の内容が送付され、そのうち数人が指示通りに送金していたという。
犯人がまず福岡県に的を絞った点について、
「最近、九州の医者は受難の時代なんです。3月初めにも、過激派を名乗った男が病院を爆破すると脅して逮捕されてますし、2月にも北九州の医者の家族を狙った誘拐事件が起きている。ですから一部では、九州に医者ばかりを狙う一味がいるのではないかとも囁かれているんですよ」
と地元記者は一応、医者に同情してみせるが、
「でも、まあ、福岡では去年、産婦人科の院長が女子高生を相手に淫行を重ね逮捕されるというセンセーショナルな事件や、一昨年にも大きな病院グループで不正請求事件がありましたし、目をつけられやすかったと言えるかもしれませんね」
と医者側の弱みを指摘するし、ある医療関係者も、福岡の開業医は世襲の坊ちゃん育ちが多いなどと“狙われる条件”をあげつらう。
あの文面で金を出す人はいない
ただし、今回の脅迫に限っていえば、福岡の医師は毅然たる態度をつらぬいた。「市の医師会として可能な限り素早く対応したつもり」と胸を張るのは同市医師会の倉重正敏・理事だ。
「脅迫状は2月の中旬、ほぼ一斉に市内の開業医に送られて来ました。私のところにも来ましたが、一見して内容がおかしいので、それほど深刻には考えなかったんです。ところがその日のうちに、同様の手紙が来たという連絡が医師会に何件かありましてね。調べたところかなりの数にのぼることが判明したので、捨ておけなくなり県警に連絡したのです」
福岡がターゲットにされた点については、
「どうも、医師会の名簿を入手して、そこから適当に選び出したようです。それも5、6年前の名簿らしい。というのは、最近住所変更した人には、古い住所で送りつけてきているケースが幾つかあるからです。ですから、捨てられた名簿をどこからか手に入れて犯行に使ったのではないかと思われます。(中略)それに、あの抽象的な表現で驚いて金を出す人はいないでしょう。スネに傷がなければ当然大丈夫ですし、多少あっても、あれなら平気なんじゃないですか」
と倉重理事は一笑に付す。
しかし、心優しき東京のお医者さんは、おめおめと払い込んでしまったのである。何人の医者に脅迫状が送られ、そのうち何人が応じたのかはまだハッキリしないが、いずれにしろ“医者を狙う”という犯人の着想は当たった。つまり、それだけ身に覚えのある医者が多かったということである。
[2/3ページ]


