「不良外国人から店を守ってください!相談料も払います」 ヤクザ組長がやり手の飲食店オーナーからの頼みを断った“納得の理由”

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若きオーナーの打算

「相談料という形で毎月、お支払いすることもできます。不良外国人から店を守るために組長や組の名前を使わせてほしいんです」

 暴対法が施行されたのは1992年。だが組長は経験豊富で、今でも地元の人々から人望を集めている。若きオーナーも安心して相談したのだが、実は彼は一つの懸念を抱いていた。

 それは、この組長の団体は知名度が高いA会ではなく、ネット検索をしても情報を見つけられない小さなB組であるということだった。要するにデジタル世代であるオーナーにとってB組は「ネットで裏付けが取れない、つまりは信用度の低い、極めてマイナーな暴力団」だったのだ。

 オーナーは相談する中で、話の進み具合によっては組長からA会の関係者を紹介してもらえるのではないかと勝手に期待していた。

「小さなB組だから組長は『自分には実力がない』と認め、大きなA組を紹介してもらえる可能性があるだろう。その際には組長に紹介料を渡せば一件落着だろう。だから相談して損はない……」

 こんな打算が働いていた。先述の通り、ヤクザは人による。看板の大小ではない。まして、この組長は長年にわたって地域貢献を積み重ねてきた大人物である。不良外国人から店を守ることは、むしろ得意分野だ。

「一旦保留」の理由

 組長は相談の内容次第では月々の相談料など受け取らない。完全なボランティアで取り組むこともある。「たまにタダで飲ませてくれたらいいよ」というわけだ。

 ところが、組長はオーナーの態度を見て、返事を「一旦保留」とした。

 まだ今は店内に外国人プッシャーが常駐的に留まっているわけではない。最近、見かけぬ外国人客が増え始めたので、もしもの場合に備えてオーナーが先回りしたというに過ぎない。いわば“事前の防犯対策”といった相談内容でしかなかった。今すぐどうにかしなければという緊急性や切迫性のある相談内容ではなかった。

 こうした理由で組長はオーナーからの相談を一旦保留としたが、それは表向きの話でもある。組長の本音は以下の通りだ。

「自分たちは助けるとなったら、本当に身体を懸けて助けます。ヤクザは出世も給料も無縁ですから。無心で困っている人のことを助けると決めたら助けます。でも、そこには条件があります。それは『決めるに足るか』です。自分が『これならよし』と腹を据えていけるならそうしますが、今回のようにカネで都合よくヤクザを使おうとしたり、ましてや別の組とうちの組との釣り合いを話して競争心やライバル心を煽ってきたり、そういうやり方の人を私は助けたいとは思いません。変に弱々しく見せる必要もありません。互いがどういう立場にせよ最低限、この人となら一緒にやっていけると思えないと腹は据わりませんよ。立場は関係ありません。特にヤクザはそういう生き物なんですよ」

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