“ノーリードの飼い犬”だけではない盲導犬と視覚障害者が“危険”を感じる瞬間…「スマホで無断撮影」「飼い主以外からのえさやり」がもたらす予想外のリスクとは

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“スーパードッグ”という誤解

 犬を散歩させている時、盲導犬とすれ違うことになった飼い主がいるとしよう。もちろんリードはしっかりと付けている。

「飼い主さんの中には、『盲導犬は非常に高度な訓練を受けた、文字通りの“スーパードッグ”なのだ』と思い込んでいる方もいます。盲導犬が高度な訓練を受けているのは事実ですが、ごく普通の犬の感覚も持ち合わせているのです。そのため、見知らぬ犬が急接近してくると、驚く盲導犬も少なくありません」(同・日本ライトハウスの担当者)

 たとえ飼い犬も盲導犬も落ち着いた状態で行き過ぎたとしても、それは単に運が良かったに過ぎない。

 見知らぬ犬が近づいてきたため、盲導犬が驚く場合もある。飼い犬のほうが先に興奮し、吠えるなどして盲導犬を驚かせることも。いずれも盲導犬が急停止してしまうと視覚障害者はバランスを崩す。非常に危険な状態であることは言うまでもない。

「盲導犬にえさをあげるのも止めてほしいことの一つです。例えば視覚障害者がレストランで食事をしているとします。盲導犬はじっと待っています。それを見た他のお客さんが『えらいわね』と言いながら盲導犬にえさを食べさせることがあるのです。なぜ盲導犬は飼い主が食事をしている際にえさをねだったりしないかと言えば、幼い時から決まった時間にしかえさが与えられないという訓練を受けているからです」(同・日本ライトハウスの担当者)

声もかけず、突然の写真撮影

 つまり盲導犬は「見ず知らずの他人からえさを与えられた」経験を持たずに成長を重ねたわけだ。

「だからこそ盲導犬は飼い主がレストランで食事をしていてもじっと待てます。飼い主は家の中でも外でも落ち着いて食事を楽しむことができます。ところが、盲導犬に『レストランで美味しいものを食べさせてもらった』という記憶が残ると、飼い主が食事をしている時にえさをねだったり、涎を大量に垂らしたり、えさを求めて歩き回ったり……と問題行動を起こしてしまう可能性があります。つまり、せっかくの訓練が無意味になってしまうのです」(同・日本ライトハウスの担当者)

 スマートフォンが普及したことで浮上した問題もある。視覚障害者が盲導犬と歩いていると、いきなり写真を撮られることがあるというのだ。

「恐らく『あの盲導犬、かわいい』という気持ちから撮影されるのだろう、とは受け止めています。とはいえ視覚障害者の側に立って考えてほしいのですが、街を歩いてる最中に突然、スマホのシャッター音が耳に飛び込むのです。きっと自分ではなく盲導犬を撮影したのだと思っても、やはり気分のいいものではありません。厳密に言えばプライバシーを侵害している可能性もありますし、無断でSNSにアップされるという問題もあります。どうしても写真を撮りたいという場合は、まずは声を掛けてほしいとお願いしています」(同・日本ライトハウスの担当者)

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