女性天皇を認めなければ「象徴天皇制は危機を迎えかねない」 専門家が警鐘 「与党は世論を無視」

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【前後編の後編/前編からの続き】

 安定的な皇位継承に向けた与野党協議が先頃、およそ1年ぶりに再開された。高市政権は「喫緊の課題」と位置付け、今国会中の皇室典範改正に意欲を見せるが、先行きは不透明。一方、その“当事者”であられる愛子さまには、恒例の行事でも称賛の声が……。

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 前編では、皇室典範の改正を巡る与野党の動きなどについて報じた。

 2017年に衆参両院で行った「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」では、政府は〈安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等〉について、速やかに検討し、国会に報告するよう求められている。ところが21年の有識者会議の報告書では、本来論じるべき皇位継承問題が棚上げされており、これを受けて与野党協議も、皇族数の確保に限って議論がなされてきた。

 こうした現状に、再開された与野党協議で早々に異を唱えたのは、立憲の長浜博行参院議員である。昨夏までは参院副議長として“行司役”の一端を担ってきた当人に尋ねると、

「本来の課題から切り離され、もっぱら皇族数確保についての方策を示すばかりで本質的な議論が避けられている。そんな全体会議の状況について私は、はなはだ遺憾だと協議の場で述べました」

 としながら、

「総理大臣が皇室典範改正を声高に叫び、選挙公約にも掲げる。『静謐な環境』での議論が大事だといわれているのに、それは静謐からは程遠い。数の力をもって“今ならやれる”とばかり、典範改正を進めようとしているのです。立法府は内閣の奴隷ではありません。森英介衆院議長まで今国会中の改正案成立を口にしていますが、何をもって成立できると考えているのか、全く理解できません」

“血統の乱れ”

 先述した「附帯決議」については、

「“養子”という文言はどこにも登場しません。最優先である安定的な皇位継承の確保のための方策こそ検討されなければならず、新たに有識者会議を立ち上げるのも一案でしょう。もちろん、時間を要すればそれだけ皇族方の人生設計にも影響を及ぼすことは承知しています。ただ、一見遠回りだが確実な手順こそが、結果的に最も早く目的を達成できるのだと思います」

 いずれにせよ、これでは一朝一夕に議論がまとまりそうにない。

 21年の有識者会議でヒアリングを受けた笠原英彦・慶應義塾大学名誉教授(日本政治史)が言う。

「高市早苗首相は自民党大会でも、旧宮家の男系男子養子案を優先的に進めると述べていましたが、私はこの案には疑問を抱いています」

 というのも、

「明治に制定された旧皇室典範でも、皇室が養子をとることを禁じています。容認すれば、際限なく“血統の乱れ”につながっていきかねないという懸念のためです。それを現行の典範も引き継いでいるわけですから、この原則は、よほど明確な根拠がない限り、解禁すべきではないと思います。そもそも旧宮家の男系男子の中から、自らが養子入りして皇室を支えていくという方々がどのくらい出てくるのか。保守派の人たちは、男系男子が続くのであればそれでいいと考えているのでしょうが、制度設計を安易に捉えていると言わざるを得ません」(同)

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