「夫の赴任でジャカルタまで来たのに」34歳駐在妻が陥った孤独 救いのボランティア活動を邪魔してきた“まさかの敵”の正体は
アイデンティティを奪われないために
せっかく前向きな一歩を踏み出そうとしても、周囲からは出る杭として打たれ、夫の理解も得られなければ、心は折れてしまう。周囲の無理解が、妻たちがアイデンティティを再構築しようとする努力を、無慈悲に踏みにじっているのだ。この壁をどう乗り越えるべきか。前川さんはこうアドバイスする。
「まずは、その活動に参加することが、自分の人生やキャリアにどれほど重要なのか、自分自身に問い直してほしいです。そのうえで、夫には『これは私にとって、仕事と同じくらい本気で取り組みたいことなんだ』と根気強くプレゼンし、味方につける必要があります」
瞳さんは、夫から投げつけられた言葉に「お金を稼がなければ、私には妻や母としての役割しかないの!?」と激しいショックを受けた。と同時に、「自分を取り戻したい」という強い思いが湧き上がったという。夫の不条理な言葉が、彼女をさらに奮起させたのだ。
「誰かの役に立っているという実感が、私の心の大きな支えになっていたからです。だから、夫とは何度も話し合いましたし、時には激しいケンカに発展することもありました。今もまだ完全には理解を得られたわけではありません。でも、誰かの顔色を伺って自分を殺して過ごすのは、もうやめました。自分の人生を悔いなく生きたいんです」(瞳さん)
「周囲の雑音を鵜呑みにして活動を辞めてしまうのではなく、自分の価値観をしっかりと言葉にして、コミュニケーションを諦めないこと。それが、異国でアイデンティティを守る第一歩になります」と前川さんは締めくくった。
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