不倫5年目、「もう引き返すべき」とわかってはいるけれど… やはり若い頃に“大恋愛”はしておくべき? 10歳年下に溺れ47歳夫は自己嫌悪中
「大恋愛」未経験だった章弘さん
「30代の単身赴任は2年半くらいでした。自宅まで片道3時間かかるけど、月に2、3回は必ず帰っていました。平日は妻の母親が力になってくれた。義母は本当にいい人で、僕が帰るときはいないんですよ。たまには義両親と一緒に食事でもと思っても、『私たちはいいから、章弘さん、家族の絆を深めてちょうだい』と姿を見せない。ときにはいい肉を届けてくれて、これですき焼きでもしなさいって。妻は『両親はあなたに嫌われたくないのよ』と笑っていましたが、結局は娘かわいさなんでしょうね。いつも義両親にはおみやげを買って帰っていましたが、それ以上に心配してくれて……。ありがたいなと思っていました」
妻との間には、最初から強い恋愛感情はなく、すぐに親としての関係が始まったのだが、かえってそれもよかったと当時の章弘さんは思っていた。家族として、父と母としてどう子どもたちに接していくかを冷静に話し合えたからだ。
だが、人は強い恋愛感情に支配されるような関係を若いころに経験しておいたほうがいいのかもしれない。結婚して親となってから、そんな感情に振り回されないためにも。章弘さんは、もともと「大恋愛」と呼べるような関係を経験したことがなかった。
「そんなのはドラマや小説の中のことだろうと思っていた。学生時代にはつきあっていた女性もいましたが、卒業とともに自然消滅。高校時代もそうでしたね。女性に夢中になるということがなかった。社会人になってから、社内恋愛はしたくなかったので友人の紹介とか趣味のカメラを通じてつきあったこともあるんですが、やはり自然消滅していました。恋愛を持続させる能力が僕にはないんだと思ってた。嫉妬したりされたり、しょうもないことでケンカしたりするのも嫌だったし、どちらかといえば恋愛なんて時間の無駄じゃないだろうかと思っていた節もありました」
だから恋愛を飛ばして結婚したのは、彼に向いていたのだろう。恋愛なんて自分には不要だったのだと思っていた。ところが単身赴任が1年たったころ、彼の心を大きく揺さぶってくる女性と出会った。
母娘の小料理屋で…
「単身赴任先の近くに、カウンターだけの小料理屋がオープンしたんですよ。行ってみたら女性ふたりで経営していた。おかみさんとその娘さん。他の場所でやっていた店が家主の事情で閉店することになり、こちらに移転させたということでした」
娘の友里さんが作った煮物は出汁の効いた逸品だった。母であるおかみさんも料理上手、なによりふたりとも穏やかでうるさくないため、心からくつろぐことができた。章弘さんはあまり外食はしないのだが、その店だけは別格だった。
「女性ふたりの小料理屋というと、なんだか行ったこっちがおかみさんたちを楽しませなければいけないような気になることがある。でもその店は違っていました。無理矢理しゃべらなくてもいいし、ポツリと口を開けば、さりげなく聞いてくれる。母と娘の距離感もいいんですよ。ふたりだけのノリみたいなものがなくて」
友里さんは章弘さんより10歳年下、母親はもうじき還暦を迎えるということだった。半年ほど週に数回通っていたのだが、あるとき「しばらく休みます」という貼り紙があった。
「以前、僕が忘れ物をしたことがあったんです。もしまた何かあったらと友里が言ってくれて電話番号を聞いていた。だから電話してみました。すると『母が倒れて入院したんです』と。それは大変と病院まで行きました。彼女に聞いて、必要なものを売店で買って届けたら、友里がひどく感激してくれた」
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