サウジ出資「リブゴルフ」が消滅危機 収益上がらず、中東情勢は混乱…大金の甘い誘惑で移籍した選手に“大きなツケ”

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リブ消滅なら選手たちはどこへ

 さて、オニールCEOの言葉通り、リブゴルフが2026年シーズンは予定通りに行われるとして、2027年以降はどうなるのか。

 PIFからの資金援助がゼロになるのだとすれば、新たな出資者、支援者が見つからない限り、リブゴルフの維持・運営は困難になる。

 リブゴルフのTV中継中、キャスターから「新たな金の工面が必要なのか?」と問われたオニールCEOは「おそらく」と返答。金策がうまく行けば、リブゴルフは2027年以降も生き残れるかもしれない。

 だが、PIFと同等の投資が行える新たな支援者が、すぐに見つかる可能性は決して高くはなく、見つからなければ、リブゴルフは今年いっぱいで大幅縮小か、最悪は消滅ということになる。

 そうなったら、リブゴルフ選手たちは、どこでプレーすることになるのか。ラームとデシャンボーの長時間の会話は、きっとそういう内容だったに違いない。

 ラームは、DPワールドツアーの試合と同じ週に別ツアー(=この場合はリブゴルフ)の試合に出ると科される“罰金”を「支払わない」と言い続け、さらには不当だとして訴訟を起こしている。だが、積み重なっている罰金を全額支払わない限り、ラームはDPワールドツアーのメンバーシップを失うことになる。

 そして同様の罰金はPGAツアーからも科され、積算されているはずで、ラームがPGAツアーへの復帰を望むとしたら、ここでも罰金の支払いを求められることになる。支払わない限り、ラームの戦いの場は無くなってしまうだろう。

デシャンボーはYouTuberに?

 デシャンボーの身の振り方については、諸説が囁かれている。

 デシャンボーとリブゴルフとの契約は2026年いっぱいで満了するのだが、仮にリブゴルフが2027年以降も存続する場合、デシャンボーはリブゴルフに新たな契約金として「5億ドル(約797億円)超を要求するだろう」と見られている。

 その要求が満たされない場合、あるいはリブゴルフが2027年以降は消滅してしまう場合、デシャンボーは今後、出場資格がある限りはメジャー4大会に出続けるものの、それ以外は「PGAツアーにもDPワールドツアーにも復帰せず、既存のツアーから引退する」という説もある。

 デシャンボーは独自のYouTubeチャンネルを創設し、高い人気を誇っている。すでに、YouTubeゴルフリーグなるものも立ち上げ、かなりの人気と収益を得ているとのこと。それがデシャンボーの今後の「メイン・ジョブ(主要な仕事)」になるという見方は、なるほどと頷ける。

 ラームやデシャンボー以外のリブゴルフ選手は、どうするのかと言えば、大半は古巣のPGAツアーへの復帰を希望するだろう。

大金の甘い誘惑と大きなツケ

 PGAツアーのブライアン・ローラップCEOは「私の関心は、PGAツアーをファンのため、プロゴルフのため、TVパートナーのために、より良いツアーにすることだ。そのための努力は惜しまない」と語っており、リブゴルフ選手のための復帰の道を開く姿勢を見せている。

 とはいえ、ケプカにオファーしたような即時復帰の特別待遇を誰に対しても用意できるわけではない。おそらく、今のリードが科されているのと同じ「1年間の出場停止」は免れないだろう。もちろん、その前に「罰金の全額支払い」は、MUSTとなると思われる。

 大金の甘い誘惑でリブゴルフへ移籍した選手たちは、わずか5年後に、こんな形で大きなツケが回ってくることを、まったく予想していなかったのだろうか。

 ひょっとしたら、ケプカやリードは、こうなることを予知して、リブゴルフからの脱退を決めたのだろうか。

 果たして、リブゴルフに2027年は到来するのか。それとも今年いっぱいで消滅してしまうのか。

 謎が、謎を呼んでいる。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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