「交際した期間と同じ時間をかけて別れる覚悟を」 警察はなすすべなし… ストーカー撲滅方法を危機管理のプロが解説
ストーカーによる悲劇が続発している。何故、ストーカー殺人はなくならないのか。先月、東京・池袋で起きた女性刺殺事件では、警察の事前対応に不手際があったとは思えない。では、今後どうするべきか? 効果的な対策を、危機管理のプロ・田中優介氏が指南する。
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【写真を見る】ストーカー行為の末に元交際相手の女性を殺害した白井秀征被告
わが子が元交際相手のストーカーに殺害されるのは、親にとって堪え難い悲劇だろう。「大切なわが子を守ってやれなかった」という自責の念と、己の無力感に苛まれるからだ。
一方で、わが子がストーカー殺人を犯した側の親も、堪え難い苦痛を味わうことになる。おそらく、殺人犯の親としてさまざまな誹りや差別を受けて、住居も職も失う可能性が高い。さらに、何の罪もない別のわが子(兄弟姉妹)の人生まで、大きく狂ってしまうからだ。その自責の念も計り知れないものがある。
従って、まず親はストーカー殺人が多発する背景を知っておかなければならない。結論から言えば、感情のコントロールが苦手な人間が増えてしまっているからだろう。少子化や核家族化によって、甘やかされて育った人間が多くなったこと。それに加えて、学校教育においても先生の厳しさが緩和されてしまったこと。この二つによって、ストレスに耐える訓練の機会が減少したのではないかと私はみている。
渋滞で割り込みされても「到着時間に影響はない」と考える
しかし、家庭や学校での厳しいしつけを復活させればいいとは思っていない。感情をコントロールするすべを、子供に教えるべきだと考えている。特に、怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントを。プロスポーツの世界では、多くの選手が取り入れて成果を上げている。男子テニス世界ランキング1位の最長連続記録を持つロジャー・フェデラー氏や、ゴルフの全米オープンやマスターズを制したジョン・ラーム選手などである。
アンガーマネジメントの一例を挙げると、ずるい行為をした相手に対しては、“べき論”ではなく“実損”で考えてみる。“べき論”とは「すべき」「すべきではない」という論法だ。例えば、渋滞のさなかに割り込みをされると腹が立つ。交通ルールは守るべき、割り込みはすべきではない、といった“べき論”で考えるからだ。しかし、“実損”で考えたら、たった車1台分のスペースが増えただけ。到着時間に何の影響もないと思えば、腹は立たないのである。
こうした心理的な手法を家庭や学校で教えることが、ストーカーによる痛ましい悲劇を減らす対策の土台となっていくだろう。
相手のストーカー化を防ぐすべも重要で、家庭や学校で教えるべきことはいろいろある。
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