松たか子、吉高由里子&高良健吾、蒼井優、駒井蓮…「大学の新入生」を描いた映画5選【春の映画案内】

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1987年の大学生たち

〇「横道世之介」(2013年)

「国宝」の吉田修一による原作を映画化。高良健吾と吉高由里子は、2人の出世作「蛇にピアス」(2008年)以来5年ぶりの共演だった。

1987年4月、横道世之介(高良健吾)は新宿駅に降り立つ。長崎から上京してきた世之助は法政大学の新入生で、初めての東京生活が始まろうとしていた。

入学式で知り合った倉持(池松壮亮)は、いつの間にか同級生の女子と付き合っている要領のいいやつだ。2人はサークル勧誘でついサンバ同好会に入ってしまう。クラスの加藤(綾野剛)と計画したダブルデートに「ごきげんよう」と現れたのは、社長令嬢の祥子(吉高由里子)だった。やがて2人は付き合うようになる。

合コン、アルバイト、夏合宿、同棲と誰もが経験するキャンパスライフが描写されていく。80年代も今もそれほど変わらないなあと観ていると、舞台は10数年後に転じる。そこでは、倉持は同級生と結婚していて中学生の娘がいるのだ。夫婦は「そういえば、世之助ってどうしてるかな」と懐かしむ。

その後も学生時代に世之助と交錯した人たちが、彼を思い出す描写が挿入される。やがて、観るものは世之助のその後を知る。人が良い世之助の笑顔が浮かび、余韻を残す巧みな構成だ。

 どこかポイントがずれているが、人を疑わず誠実な祥子を演じた吉高は、本作で毎日映画コンクールの助演女優賞を受賞。翌年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」のヒロインに抜擢された。

 大学時代に触れあった人を思い出し、感慨に浸る。そんな時があってもいいかもしれない。

美大生たちの青春

〇「ハチミツとクローバー」(2006年)

“全員片想い”のフレーズが有名になった、美大に通う5人の若者たちの群像劇。羽海野チカの人気漫画が原作で、アニメやドラマ化もされた。

 桜が散り始める季節。花本(堺雅人)研究室の親睦会に参加した竹本(櫻井翔)は、花本のいとこの娘・はぐみ(蒼井優)に出会い、一瞬にして恋してしまう。はぐみは油絵科の新入生で、天才少女と噂されていた。

 研究室には、年上の女性を追いかける真山(加瀬亮)、その真山を好きな山田(関めぐみ)、破天荒な8年生森田(伊勢谷友介)がいた。この5人それぞれの想いと創作への情熱が描かれていく。

 森田の木彫作品は高額な値段がつくほどの評価だが、本人はその才能を持て余している。演じる伊勢谷は東京芸大美術学部出身で、まさに美大生の等身大を演じているようだ。

 しかし、なんと言っても注目ははぐみを演じる蒼井だろう。今にもポキリと折れそうな心を持った天才少女を、繊細に演じている。セリフは少ないが、人を不安そうに見詰める表情や絵筆をもった途端に作品にのめり込む姿。才能を持った人間とはこういうものかと感じさせてくれる。

 蒼井は、はぐみに似ているところはと聞かれて「言葉が少ないところですかね。はぐも私も感覚で生きてるな、と思います」と答えている(「Cinematpics online」2006年7月6日)。

 美大生ってやはり個性的で、自由に溢れているんだなと感じる「青春映画」だ。

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