「法律に書いてあること以外はできない」 イラン戦争で自衛隊にできることとは? 元自衛隊統合幕僚長が解説
結局、日米首脳会談では、ホルムズ海峡への艦船派遣を直接的に迫られる場面はなかった。では、自衛隊には何ができて、何ができないのか――河野克俊氏(元自衛隊統合幕僚長)の見解。
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自衛隊を動かす際には、「法的根拠」が必要になります。この点から、結論としては戦闘中の地域に派遣するというのは非常に困難です。
唯一可能性があるのが、「存立危機事態」の認定でしょう。この場合には、自衛隊も武力行使が認められるのですが、要件のハードルが非常に高い。これを使うと、石油タンカーなど船舶の護衛も可能ですが、“日本が攻められる寸前”というような状況でなければ、認定が難しい。しかし今その状況にあるかというと、そこまでには至っていないでしょう。
そもそも、存立危機事態は、2015年の平和安全法制の成立によって認定が可能になったものですが、行使できるのは「限定的な集団的自衛権」に限られています。世界広しといえど、集団的自衛権に「限定的」なんて制約をかけているのは日本だけです。要するに、友達が危機で助けを求めている時、「憲法の制約があるから、条件を満たさないと助けられません」という状態、それが日本なのです。日本が直接攻撃されていない段階で、国益のために行動するのが極めて難しい現状は変わっていません。
さすがに日本が攻撃された時には「個別的自衛権」が発動されますから、自衛隊は必要な武力の行使が可能になります。しかし言い換えれば、日本が明確に攻撃されるような事態になった時に初めて、諸外国の軍隊並みに動けるようになるのです。
日本に何ができる?
では、今回の件で日本は何ができるのか。「海上警備行動」での派遣などが議論されていますが、やはり戦闘中の地域への派遣は難しい。私は、停戦になった際、ホルムズ海峡に敷設された機雷の掃海を担うことで貢献できるのではないか、と思っています。機雷が本当にあるのかは確認が取れていないのですが、安全に航行するため、“ない”ということを確認する価値はあるでしょう。この場合には、自衛隊法第84条の2の「機雷等の除去」が適用されます。1991年にペルシャ湾に掃海部隊を派遣した際と同じ根拠法(当時は99条)です。
無論、停戦まで自衛隊にできることが限られるという状況が今後もそのままでいい、というわけでは決してありません。いつの時代も、ホルムズ海峡が危機的状況に陥った時、この場所に日本が大きく依存していることが無視できなくなります。これは歴史的に何度も繰り返されてきたことですし、今後も起こり得ます。だからこそ、日本としても貢献を求められる。
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