妻を尾行し、目撃した光景に浮気を“確信”…それでも追求しない47歳夫が始めた「ピュアすぎる恋」

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【前後編の後編/前編を読む】〈おたくのおくさんうわきしてるよ〉深夜のポストに怪文書…「完璧な妻が、まさか」47歳夫の疑念のはじまり

 吉長剛司さん(47歳・仮名=以下同)が、妻の芽依さんから「起業する」と聞いたのは、年子の子どもたちの子育てに追われていた頃だった。美容関係の事業を興した芽依さんは、順調に会社を拡大。姑にあたる剛司さんの母を北陸から呼び寄せると、家事育児の協力を取り付けるようになった。彼女と結婚してよかった――。充実した毎日を送っていた剛司さんだったが、ある夜、自宅の郵便受けに真っ白な封筒を見つける。中の手紙には「おたくのおくさんうわきしてるよ」と記されていた。

 ***

 さて、この手紙をどうしよう。正確に言えば、この手紙に対して自分の心はどう対処すべきだろうか。剛司さんはそう考えたという。

「まずは、妻に見せるかどうかですよね。妻が認めるはずはないし、万が一、認めたら僕が耐えられない。そもそもそんな手紙を大ごとに考える必要はないんじゃないか。そう思う一方で、いったい誰がという気持ち悪さもある。ひとりで抱えているのはなんとも重い。どうしたらいいだろうと、ただひたすら考えました」

 誰にも相談もできなかった。ふと、「そういえば、こういうプライベートなことを相談できる友人がいない」と気づいた。近所のパパ友に言える話ではないし、学生時代の友人たちともたまに会うことはあっても、こんな内容は口にはできない。

「おふくろに言うのもためらわれた。ひとりで抱え込むしかないのかもしれない。そんなふうに思っていたとき、職場の年上女性が思い浮かびました。啓子さんというその女性とはよく一緒に仕事もしているし、聡明で冗談が好きで、よくダジャレを言い合ったりしている仲。彼女なら何か言ってくれるのではないかと思いました。手紙を送ってきた犯人を見つけたかったというよりは、僕自身の気持ちの持ちようにアドバイスがほしかった」

「一泊してきてもいいかな」

 そう思ったが、なかなか切り出せるものでもない。そうしているうちに芽依さんが、「今度の週末、ちょっと仕事で一泊してきてもいいかな」と言いだした。それまで彼女はほとんど出張をしたことがない。美容関係の学会やセミナー、情報交換の場があったりはしたらしいのだが、「泊まりはしない」と本人が決めたことだった。だが息子も中学生になり、一泊くらいならいいかなと思い始めたと芽依さんは説明した。

「そうだねと言いながら、男と旅行するんだろうと思いました。妻がやけにピカピカして見えた。留守の間は任せておけととりあえず安心させました」

 土曜の早朝、寝たふりをしている剛司さんに気づかず、妻はこっそりと家を出ていった。剛司さんは着替えたままベッドに横たわっていたから、そのまま妻のあとをつけた。ほぼ始発の電車に乗った妻を、隣の車両から目深にかぶった帽子の隙間から追った。

「妻は東京駅で降りました。新幹線でどこかへ行くんでしょう。僕には大阪だと言ってましたが、本当かどうかわからない。新幹線の入場券を買って、妻を追いました。妻はすごい勢いでぐんぐん歩いていった。後ろから僕が追っているなんて考えてもいないんだろうなと思いましたね」

 とある車両の前で妻は立ち止まった。そして一息つくと乗り込んだ。男も東京駅から乗るとは限らない。品川駅か新横浜かもしれない。証拠を見つけるのは無理か、と思いながらホームから妻の姿をこっそり見ていると、妻は車両半ばで立ち止まった。男が待ち受けている。その胸に飛び込むようにしながら妻は窓際へと座った。

「あわてて反対側を向きました。柱の陰からちらっと見ると、妻は外なんか見ていなかった。通路側の男のほうに完全に向き直っていました。僕はもちろんふたりの間に割って入る気はなかったから、そのままとぼとぼ家に帰りました」

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