病院を“高齢者の集会所”にしないよう「喫茶店」や「カラオケスナック」に補助金を出しては? “ヒマな高齢男性”の居場所作りという令和の難題
日本の高齢化率(65歳以上の人口の割合)は2025年9月時点で29.4%だという。これがどれくらい高いのか。近隣諸国でいえば、例えばインドは7.1%である。そう聞くと、日本が相当な高齢化社会であることを実感できるのではないだろうか。
最近、喫茶店でもあり、さらに酒も飲める佐賀県唐津市のバルでバイトをしているのだが、とにかく高齢者が続々とやってくる。主に男性高齢者がメインで、彼らと話をしているうちに「高齢者向けビジネスはものすごく重要なのでは?」と考えるに至り、本稿では、これらをいかにして展開するかについて考察する。【取材・文=中川淳一郎】
補助金を出すべき
私がバイトをしているのは、佐賀県唐津市の「唐津 ちょこバル」という店である。唐津焼を販売する「一番館」が、唐津焼でコーヒーや酒を飲める店を作りたい、ということでオープンし、毎週金曜日~日曜日に営業をしている。ここには、観光客もやってくるが、地元の常連客もやってくる。
その地元の常連客の多くが高齢男性なのだ。私と一緒にカウンターの中に入っているのは、本当に素敵な40代後半の女性・麻里さんである。彼女は感じがいいし、仕事もできるし、酔っ払いやひたすら喋り続ける高齢男性の相手をし、気分を良くしてくれる。要するに人格者なのである。
彼女はA3 galleryというギャラリーの経営者なのだが、週に1回、ちょこバルでバイトをする。私も本職は編集・ライターなのだが、同様にバイトをする。こうした我々コンビが店にいる日に多くの人が来てくれるのだが、ここで働いていると、高齢者、特に男性向けのサービスは補助金をつけてでも拡充した方がいいのでは、と思うのだ。
地元のカラオケスナックにも昼間から高齢男性は多数訪れているが、彼らは、言葉を選ばずに言えば「暇で寂しい」のである。これから団塊の世代がさらに高齢化すると、配偶者を失って独り身となる人はもちろん、一度も結婚しないまま定年退職を迎える人も増えるだろう。そうなると、よけいに時間をいかに使えばいいのか悩む人も増えてくる。そんな状況にあるわけだが、我々は「高齢者向けの『場』は病院への補助金だけでなく、居酒屋や喫茶店など、彼らが集い、孤独を癒やす場所にも出していいのでは?」と考えるようになった。
なにしろやってくるお客さんは「お前と麻里さんがいるからオレは来るんだよ! 結局は誰がやってるかだよな!」などと言ってくれる。500円のコーヒーで2時間おしゃべりを楽しむ方もいるわけで、年金生活の中では、もう一杯コーヒーを頼むのはキツイのかもしれない。こうした方々は、我々が作業をする厨房の周囲のカウンターにいる。
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