「こんな凄いのは初めて」婦警vs.外国人女スリの激烈タッグマッチ 80年代デパート店員たちの興奮証言「どっちが泥棒なのか迷った」

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いまや古典の「出稼ぎスリ」

 近年、特に注目されている外国人犯罪。悪質な交通事故や殺人、大規模な窃盗など、その内容が深刻さを増している一方、よくあるスリも“盛況”だ。キャッシュレス化を含む生活様式の変化やコロナ禍などで認知件数は減ったが、中国やルーマニアなどからスリを目的に来日した外国人の逮捕も報じられている。

 日本がバブル期だった80年代後半にも、こうした「出稼ぎスリ」が多発していた。そこで当時の警察がどのように対応していたのか。1988年3月、東京・日本橋の有名百貨店では激しすぎる大捕り物が発生していたという。「今回のように凄いのは見たことがありません」と店員が興奮したその内容とは――。

(以下「週刊新潮」1986年4月10日号「デパートでスリ二人を格闘逮捕した婦人警官の武勇」を再編集しました。文中の固有名詞、肩書き、年齢等は掲載当時のものです)

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女性客から財布を抜き取った

 その“出稼ぎスリ団”が香港からやって来たのは、1986年3月28日のことだった。一味は、夫婦2組、男1人の計5人。彼らは成田空港に到着するや、帝国ホテルの1泊2万9500円のツインルームを予約する。

 なんとも豪勢なものだが、どうやら一味はここを根城にし、荒稼ぎを目論んでいたらしい。部屋代を稼ぐくらい、お茶の子さいさいとタカをくくっていたようだ。が、この5人組、国際スリ・グループとして日本へ入国した時からマークされていたのである。

 彼らは翌日、獲物を求めて銀座に繰り出したのだが、この時、すでに婦警2人に尾行されていた。まず、一味は百貨店「松屋」に狙いを定めるが、ここではカモにめぐり会えず、次に東急百貨店日本橋店(編集部注:1999年閉店)に移動、買い物中の主婦を狙って行動を起こす。「東急」保安係の話。

「捕まったスリは、警察がかねてマークしていたようです。彼らは、銀座の松屋から歩いてうちへ来たようで、その間、婦警さんがずっと尾けていたと聞いています。そこでスリ一味は、うちのハンドバッグ売り場で女性客から財布を抜き取ったんです」

どっちが泥棒なのか区別がつかず

 ここから大捕物の幕が開く。婦人セーター売り場の男子店員によると、

「婦警さんたちは、ハンドバッグ売り場と反対側のエレベーターのほうでスリを逮捕しようとしたようです。私が気づいた時は、4人の女性がものすごい勢いで大通りに面した江戸橋口のほうに向かって走っていました。そして外へ出て、2対2に分かれ、激しい掴み合いをはじめました。

 最初は子供がふざけてケンカしているのかと思ったんですが、洋服を引っ張ったり、髪の毛を掴んで振り回したり、その様子があまりに激しいので、変に思って表に出て見たら、取っ組み合いをしている一組の一方の女性が『この人泥棒なんです。捕まえて下さい』と、私を見て助けを求めるように叫んだんです。

 しかし、あまりに凄い迫力なので、私は、どっちが泥棒なのか区別がつかず、しばらく呆然と立っていました。そのうち、叫んだ女性のほうが相手に手錠をかけたので、やっと婦人警官と分かりました。その婦人警官が私に犯人を預けて、もう1人を追っていきました。捕まった後の犯人は、私に抵抗して逃げる素振りも見せず、うなだれていました」

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