色紙にマーカーで“一発描き”する動画に「凄い!」…「生成AI」「デジタル作画」全盛の時代に“アナログ画材”が再評価される納得の理由
デジタルの発達や生成AIの普及に伴って、絵の具やマーカーといったアナログの画材は失われていくのではないかと思われた。ところが、最近になって若い層が購入する例が増えているという。デジタルのイラストに慣れ親しんだ層には“アナログ”が新鮮に映るようだ。実際、絵の具やマーカーを使い、手描きで創作をしてみたいと考える人は増えつつあり、ガイド本も多数出版されている。
【写真】漫画家・イラストレーターから圧倒的支持を受ける「コピック」のアルコールマーカー
ポケモンカードなどを手掛けるイラストレーターで、YouTuberでもあるさいとうなおき氏も、個展でアナログの作品を発表するようになった。また、コミックマーケットをはじめとする同人誌即売会でも、有名漫画家・イラストレーターが“色紙”を販売するケースが目立つ。複製できるデジタルと異なり、アナログには“一点物”としての価値が見出されているようだ。
こうした流れを受けて、1990~2000年代に漫画家やイラストレーターの必需品といわれたマーカー“コピック”が若い層にも注目され始め、メーカー側も販売に力を入れているという。復権しつつあるアナログ画材と、画材メーカーの今に迫った。【取材・文=山内貴範】(全2回のうち第1回)
アナログで描けることの価値が向上
「デジタル化が普及したからこそ、アナログで描くことに楽しみを見出す人が増え、さらにはアナログで描けることの価値が上がってきていると感じています」
そう話すのは、コピックを発売する画材メーカー・トゥーマーカープロダクツの広報担当者さんである。特に若い層ほど、アナログで描ける人に対する憧れが高まっているようだ。
「イラストレーターが、下描きをせずにペンでいきなり描き始める“一発描き”で、目の前でパパッとイラストを描いて渡すと、“凄い!”と反響があるそうです。その方はアナログで長年描いてきたわけですから、“えっ、なんで?”という感覚に陥るそうですが。アナログの画材を扱える技術に対し、これまでにないほど関心が高まってきていると感じます」
アナログに対する関心の高まりは数字にも表れている。中央アジアが舞台の漫画『乙嫁語り』などで知られる漫画家の森薫氏が、コピックを使っていきなり色紙に絵を描き始める動画は、YouTubeで100万回以上再生されている。この動画は海外でも反響を呼んでおり、アナログのスキルに注目が集まっていることがわかるだろう。
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