入居者同士のカップルが続々誕生 「家賃高騰時代」に単身者が幸せを追い求める「新たな住まい」とは

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多くのカップルが誕生 “トモア婚”も

 料理はコリビングスペースで可能で、ダイニングテーブルを囲んで食事を摂ることで自然に会話が生まれるという。同じフロアで知り合ったもの同士の飲み会が開かれることもあるそうだ。学生時代と違い、社会人になると社外の人と交流する機会は案外少ない。加えて、リモートワークが広がったコロナ禍以降は、社内の交流も減っているという。自然発生的に生まれる交流に魅力を感じる人もいて、入居満足度は82%と高く、入居者の友人が引っ越してくるケースもある。

 入居者の属性は、年齢が20代から30代が87%を占めており会社員が83%。性別では、女性比率が61%と目立つのも特徴。シェアハウスの経験者は、入居開始当初よりも下がり続けており今では70%の人がシェアハウスの初心者だ。まもなく入居開始から1年が経つが、これまで多くのカップルが誕生し、結婚に至って転居した人もいる。年齢層が近いことに加え、全135邸と規模が大きいため価値観の近い人に出会える機会も多そうだ。筆者は、竣工した2つの「TOMORE(トモア)」を見学したが、共用空間にちょっとした“縁”が生まれそうなスペースが豊富だった。気軽に語り合える異業種の仲間ができれば、視野も広がりそうだ。

 賃貸選びの際には、賃料や立地、広さ、間取り、設備など優先順位を決めて物件を探すケースが一般的だ。社会人になってからの人間関係の構築が難しくなりつつある今、「TOMORE(トモア)」のような住居形態は、仲間づくりの場としても魅力的だ。好調な申し込み状況は、これまでの「条件」に加え、住まいの新たな価値として「交流」を求める人が増えていることを表しているのかもしれない。

 2020年国勢調査における「30歳~34歳の未婚率」は、男性51.8%、女性38.5%。未婚率が年々高まる中、単身者の住まいのニーズも多様化していく。「ひとり暮らしを、ひらく暮らしに。」を掲げる「TOMORE(トモア)」のような新しいタイプの都心賃貸に、家賃高騰の中の住まいの「新しい選択肢」として支持が広がりつつある。

岡本郁雄(おかもと・いくお)
不動産コンサルタント及びFPとして、講演、執筆など幅広く活躍中。TV・雑誌など様々なメディアに出演、WEBメディア「街とマンションのトレンド情報局」も運営している。30年以上、不動産領域の仕事に関わり首都圏中心に延べ3000件以上のマンション・戸建てを見学するなど不動産市場に詳しい。岡山県倉敷市生まれ、神戸大学工学部卒。

デイリー新潮編集部

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