早大法学部から強豪実業団チーム入り…女子マラソン「小林香菜」が語る異色のシンデレラガールが「世界陸上で入賞を果たせた理由」
直前期には月間走行距離が1300kmに到達するほどの過酷な練習も
18年ぶりに自国で開催される世界陸上東京大会に挑む新星の誕生は、多くの話題を振りまいたが、そこから本番までの約7ヶ月間は、小林選手にとってはこれまでにない重圧と向き合う時間でもあった。
「“選手は私一人”という環境の中で本戦に向けて準備を進めていると、日常のふとした瞬間に、孤独やプレッシャーを感じたり、日々の練習の成果に一喜一憂したりして、落ち込んでしまうこともありました」
それでも直前期の7月には、月間走行距離が1300kmに到達するほどの過酷な練習をこなし、逃げ出したくなる場面もあったが、空いた時間には友達や家族と電話で話すなどして、心身をリフレッシュさせていた。
「尊敬していた先輩方が世界で歯が立たない様子を見てきたので、自分も絶対コテンパンにされると思っていた。嫌だな、嫌だなと思っていた」(2025年9月・世界陸上レース後のコメント)
不安を感じつつ、これまで経験したことがない大声援の中でレースに臨んだ小林選手は、中盤で一時11位にまで順位を落とすも、ここから持ち前の忍耐力のある走りで追い上げを見せて2時間28分50秒の7位でゴール。女子マラソンとしては3大会ぶりの入賞でレースを終えた。
「これまであまり味わうことのできなかった、自分自身の成長を感じることができましたし、このまま頑張り続ければ、MGC(2027年10月)やロサンゼルス五輪(2028年)でも十分に戦えるのではないかと思いました」
日の丸を背負って臨んだ初のレースを振り返り、小林選手は手応えを窺わせたが……。試合後のインタビューでは「そんなに長く競技をやるのはいいかな……」と本音混じりにコメントし、各所で話題を呼んだ。
「これまで楽しく走り続けてきたので、『走ることを嫌いになりたくない』と思っていて。選手としてのキャリアに区切りをつけた後も、トレイルやウルトラマラソンに挑戦し、その楽しさを味わってみたい気持ちがある。来年秋のMGCと2028年のロサンゼルス五輪までは全力で競技に打ち込んで、その後のことは終わった後にじっくり考えてみようかなと思っています」
メダルラッシュに沸いたミラノ・コルティナ冬季五輪が終わり、人々の次の関心は2028年夏のロサンゼルス五輪に移りつつある。「まずはMGCに向けて地道に練習し、たくさんの声援を浴びながら、強い選手と互角に渡り合えるような五輪に出来るように頑張っていきたい」
「今季はスピードアップに取り組む年にする」と意気込む異色のランナーは、早くも未来を見据えていた。
第1回【早大「ランニングサークル」出身のマラソン日本代表「小林香菜」 総務官僚を目指しながら「富士山マラソン」を連覇した“異色すぎる競技人生”を明かす】昨年の世界陸上で7位入賞を果たした小林香菜選手が、いかにして日本を代表するマラソン選手になっていったか、自身の過去を振り返っていただきつつ、その理由を伺いました。
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