早大法学部から強豪実業団チーム入り…女子マラソン「小林香菜」が語る異色のシンデレラガールが「世界陸上で入賞を果たせた理由」

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 ミラノ・コルティナ冬季五輪が幕を閉じたが、2年後に行われるロサンゼルス夏季五輪の出場権をめぐる争いも熱を帯びている。昨年行われた世界陸上の女子マラソンで7位入賞を果たし、いち早く代表選考レースMGCへの出場権を手にしたのが、大塚製薬の小林香菜(=24=)選手だ。高校から早稲田大学法学部に進学し、学生時代はランニングサークルに在籍しながらマラソン、国家公務員を目指していたという小林選手に、世界を目指すまでの道のりやロス五輪に向けた思いを伺った。【取材・文=白鳥純一】(全2回のうち第2回)

官僚志望から進路を変更

「自分で覚悟を決めて、実業団の世界に足を踏み入れたからこそ、何とかここまで頑張ってこられたように思います」

 2024年4月、これまでに数々の有力ランナーを輩出してきた大塚製薬陸競技上部(徳島県)に入部。昨年9月に東京で開催された世界陸上で7位入賞を果たし、2028年のロサンゼルス五輪への出場を見据える24歳は、官僚志望から進路を変更し、歩んできたこれまでの日々をそう振り返った。

 屈指の難関校として知られる早稲田大学本庄高等学院を経て、内部進学で早稲田大学法学部に進んだ小林選手は、先輩が所属していた「ホノルルマラソン完走会」と、登山を中心に活動するアウトドア系のサークル「山小屋研究会」に入会。大学2年時には、「第10回富士山マラソン」(2021年11月)に出場し、自身初のマラソンを3時間29分12秒(28位)で終えた。その後も毎日20キロのジョグや皇居でのランニング、さらにはトラックでの練習に取り組んだ。

 翌2022年の第11回富士山マラソンで1時間ほど記録を縮めて、2時間39分54秒で見事に優勝を飾ると、翌年1月に行われた第42回大阪国際女子マラソンでも、2時間36分54秒(全体21位)でゴールテープを切り、走りに自信を付けた。

進路を決められず、不安や焦りを感じた大学時代

 大学入学当初は、卒業後は総務省の官僚として活躍する未来を思い描き、オンライン予備校に通いながら準備を進めていた小林選手だが、日々の練習の成果が表れてくるにつれて、「より本格的に陸上競技に取り組みたい」という思いが生まれ、次第に強くなっていった。

 だが、大会で好記録を残しているとはいえ、体育会の競走部に所属しておらず、誰一人として知り合いのいない実業団チームへのアプローチには、さまざまな苦労が伴った。

 当初は、知人を介して実業団関係者との接触を図ったり、チームのホームページに設けられているコンタクト欄に「自己紹介と練習に参加させてほしい」とメッセージを送ったりしてチャンスを窺うもなしのつぶて。

元々「あまり期待はしていなかった」というが、それでも厳しい現実を思い知らされ、心を打ちひしがれた。

 それに加えて、国家公務員試験に向けて順調そうに準備を進める友人たちの姿が、不安に追い打ちをかけた。

「進路を決められず、どっちつかずになっている自身の状況に焦りを感じずにはいられませんでした」

 卒業後はどのように陸上に向き合うべきなのか。当初の目標としていた総務省のインターンに参加し、マラソンに向き合うのが難しそうな多忙な生活を知るにつけ、ランナーとして自身の可能性を示したい思いが少しずつ強くなっていた。

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