初デートにサイゼリヤは「超アリ!ただし…」 料理研究家リュウジが導くサイゼ論争の“答え”

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「ボクは完全に中立」

 行きたい理由を説明しない男性と、希望を言わずに文句を言う女性。互いに歩み寄る努力を怠ったままでは、一生この溝が埋まることはない。

「結局みんな“仮想敵”を念頭に語っているから、この論争は終わらないんですよ」

 過去の記憶の中の、あるいは脳内で生み出した「ちょっと気に入らないデート相手」という仮想敵だ。

「嫌な思いをさせられた相手を投影している場合も多いのではないでしょうか。『サイゼはナシ』って怒る人は、今までにサイゼに連れて行かれて嫌な思いをした経験がありそう」

 本来なら、その時のタイミングや立場、二人の関係性によって正解は変わるはず。そうした背景をすべて省いて語ることも、論争が繰り返される原因だと分析する。

「ボクは中立の立場なんですけど、『初デートにサイゼはアリ』って言うと、男性側にカテゴライズされて、その真意も分からないまま女性側に叩かれる。一方でボクは、相手が望むなら高めのフレンチもアリ派なので、『最初はもうちょっとカッコつけたほうがいいんじゃない?』なんて言えば、今度は男性側から叩かれる。結局どっちからも叩かれるんですよ(笑)。マジでくだらない論争です」

値段とおいしさは必ずしも比例しない

 日常的にファミレスも高級店もよく利用するというリュウジ氏は、外食の価値についても独自の考えを持つ。

「例えば2万円の食事をするじゃないですか。2万円出すと大体どこのお店もおいしいんです。じゃあ5万円なら、その2.5倍おいしいかっていうと、実際はそんなことはないんです」

 むしろ1人5万円で「たいしたことがない店も多い」とリュウジ氏。

「味だけでいえば、大体2万円で頭打ち。1万円から2万円のところでめっちゃ頑張ってる有名じゃない店がうまいですね」

では高級店の価値とはなにか。“味の倍率”ではなく、産地や食材の希少性、ストーリー、プレゼンテーションなど、『体験』としての価値が価格に乗っているのだ。

「5万円のお店に行くのは、旅行に行くようなもの。未知なる体験や食材、希少な時間を味わいに行く。誰々さんが今朝、仕留めたジビエですとか、どこどこで水揚げされたエビですとか。そういうふうな物語や体験をくれるので、おいしさだけでは測れない価値がありますよね。だから、そういった場合には5万円払っても惜しくないかな~となりますね」

 ただし、純粋に「味」だけで言ったら、とれたてジビエよりスーパーの肉が勝つこともあると語る。

「おいしさと値段っていうのは、必ずしも比例するものではないです。それを念頭に置けば、どんな飲食店も楽しめるんじゃないかと思います」

 高いか安いかではない。その店の「武器」を理解し、主体的に楽しもうとする意志があるか。それがあれば、たとえ数百円のメニューであっても、数万円のコースに劣らない感動を味わえるという。

「安くてうまい店は、世の中にたくさんありますから。特に日本のチェーン店は、企業の血の滲むような努力の結晶だと思います。その凄さを知らないで『初デートにサイゼはナシ』なんて言ってしまうのは、人生損しているとも思いますね」

では、食のプロであるリュウジ氏が、ひとりの客として、そして料理研究家として、愛してやまないチェーン店とはどこなのか。後編記事【サイゼは“肉無しピザ”がマスト、唐揚げじゃない日高屋の“正解”…料理家リュウジが愛する「必食の外食チェーンメニュー」8選】では、リュウジ氏が推す、最強のチェーン店&メニューを、具体的な攻略法とともに徹底解説してもらう。

リュウジ■料理研究家。1986年、千葉市生まれ。XやYouTubeで日々更新する料理動画やレシピが、「簡単に爆速で美味しく作れる」と大人気。YouTubeチャンネル「料理研究家リュウジのバズレシピ」の登録者数は550万人、SNSを含めた総フォロワー数は1120万人を超える。2020年、『ひと口で人間をダメにするウマさ!リュウジ式悪魔のレシピ』(ライツ社)で「第7回料理レシピ本大賞」を受賞。22年には、定番料理100品のレシピを集めた『リュウジ式至高のレシピ』(ライツ社)で「第9回料理レシピ本大賞」を受賞し、2度目の栄誉に輝く。「料理のお兄さん」として自炊の楽しさを広めようと、多方面で活躍している。

取材・文/荒木睦美

デイリー新潮編集部

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