“被害者を精神的に追い詰める”だけではない…「フキハラ」が職場を崩壊に追い込む“2つのリスク”を専門家が解説
第1回【警視庁幹部の“フキハラ認定”に「不機嫌ぐらいでハラスメント?」とSNSで異論殺到 …専門家が「納得できないという気持ちも分かります」と理解を示すワケ】からの続き──。警視庁の警視正が「不機嫌ハラスメント」の認定を受け、処分を受けたことから「フキハラ」に注目が集まっている。新聞・雑誌のデータベースで調べると2020年ごろから紙面に登場しており、比較的新しい言葉のようだ。そのため「フキハラなんて初めて聞いた」とか「フキハラって具体的にはどんな行動を指すの?」と首を傾げる人も少なくないだろう。(全3回の第2回)
***
【写真を見る】過剰な接触、アルコールの強要に涙する女性社員も…フキハラだけじゃない職場でのハラスメントの実態
日本ハラスメント協会で代表理事を務める村嵜要氏は「なぜフキハラという新しいハラスメントが誕生したのか、それはパワハラの概念が日本社会に広く浸透したこととも関係があります」と言う。
「今の日本では多くの人が『パワハラはあってはならないこと』という共通認識を持っています。そのため本質的にはパワハラ気質を持つ上司であっても、部下に暴力を振るったり、暴言を吐いたりすることに“ブレーキ”がかかるようになったのです。ところが人間は行動を変えることはできても、性格を変えるのはなかなか困難です。パワハラを禁止された上司が、代わりに起こすようになった職場の問題行動がフキハラ、という流れが認められるのです」
不機嫌ハラスメントという言葉から、私たちは「上司のしかめっ面」とか「上司の舌打ち」というイメージを浮かべてしまう。
「上司の『しかめっ面』や『舌打ち』は長期間常態化し、部下の中に精神的に追い詰められて、明らかに業務に影響が出ているような人が認められなければ、基本的には処分の対象になりません。フキハラと認定される事例は、もっと周囲に恐怖感を与えるものです。例えば大音響が起きるほどドアを乱暴に閉めるとか、オフィスのゴミ箱を蹴飛ばす、書類を放り投げる、部下をものすごい形相で睨みつける、といった行為です。部下に暴力を振るったり、怒鳴ったりするとパワハラに認定されてしまうので、オフィスの備品を乱雑に扱って大きな音を立てたり、部下に無言の圧をかけたりするわけです。つまり、フキハラとは単に不機嫌になっているだけの状態ではありません。そこには部下を威圧しようという上司の心理状態を見て取ることが可能なのです」(同・村嵜氏)
[1/2ページ]


