今季最高のヒット「リブート」が大詰め “黒幕”の最有力は? 多すぎる“謎”を徹底考察

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

本当に悪い奴ら

 そうなると黒幕と考えられる人物は限られてくる。警視庁監察官の真北正親(伊藤英明)である。黒幕と見る材料が揃い過ぎている。

 まずは軽いところから。第4回、早瀬は儀堂の警視庁内のロッカーからノートパソコンを発見した。パソコンに残っていたメールの内容を調べると、貸トランクから10億円が見つかった。

 このパソコンは儀堂のものではない。何者かがロッカーに置いた。その工作を難なく出来るのは職員を調査する権限のある真北である。

 第5回、早瀬が住む儀堂宅に捜査2課の家宅捜索が入った。儀堂とゴー社との関係を洗うためである。土方悠里刑事(愛希れいか)がいる2課は知能犯や贈収賄などを担当する。警視庁内で唯一、政治家と向き合う部署である。

 早瀬は室内に拳銃を隠していたから絶体絶命。ところが真北が捜索前に隠してくれたため、逮捕されずに済んだ。

 第6回、真北は早瀬に向かって「あなたがいなくなると困るから」と、助けた理由を語った。儀堂は6年前に真北の協力者になり、ゴー社の情報を提供していたからだ。中身が早瀬になろうが、ゴー社に通じているから、守ったという。

 真北の目的は「クジラ」を釣り上げること。ゴー社から資金提供を受けている大物政治家の摘発である。その人物は第7回で明らかになる。真北の実兄・真北弥一だ。野党第1党党首で次期首相候補だった。

 もっとも、真北が本当に兄の摘発を狙っていたとは到底思えない。贈収賄は2課の担当。そもそも監察官の真北に捜査権はないから、手柄にならない。儀堂からゴー社の情報を得ていたこともルールに反する。潜入捜査は違法である。仮に起訴できて裁判になろうが、勝てない。そんなことは監察官の真北なら百も承知のはずだ。

 真北の狙いは全く別のところにあると見る。ゴー社から兄への献金が途絶えたり、発覚したりしないよう、儀堂に組織の動きを監視させていたのだ。その真意は儀堂に伝えなかったが、儀堂は勘づいていたのではないか。だから「大した情報を上げていない」(真北)。

 真北が早瀬に対してクジラが兄であることを明かしたのは第7回。だが、それは自発的なことではなかった。早瀬から「きょう合六の店であなたを見ました」と告げられたから。あとから兄が合流したのも早瀬は見ていた。この目撃談を伝えられたとき、真北はかすかに動揺していた。

 その後、真北は合六の金で首相が生まれたら困ると言い繕った。しかし、この話も苦しい。100億円の商品が見つかったら、合六に返し、兄に闇献金するところで摘発しようと早瀬に提案したあとだからである。合六に返品しなかったら、兄に金を渡せない。汚れた首相の誕生を阻止できる。真北は兄のスポンサーである合六を守ろうとしている。

 儀堂宅の家宅捜索で拳銃を隠したのも早瀬のためではなく、ゴー社を守るため。拳銃が出てきていたら、2課の捜査がゴー社に及ぶ可能性があった。

 儀堂宅の火災にも真北が絡んでいるのではないか。儀堂が真北とゴー社の不審な関係に気付き、調べ始めたから、警告を与えた。

 3年前の本物の一香殺しにも真北が関係した疑いがある。10億円が手つかずで、現金で保管されていたからだ。金融機関に預けたりすると、アシが付いてしまうため、政治資金は現金主義。近くあるという選挙用だったのだろう。

 真北はゴー社に兄への闇献金をさせながら、秘かに大金も奪おうとしたと見る。とんでもない悪党である。

 まだ謎は多い。複雑なパズルのような物語である。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。