理想の歯磨き時間は? 専門家が教える「本当の歯磨き術」 血が出ても大丈夫な理由とは

ドクター新潮 ライフ

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バス法

 次は「歯ブラシの持ち方」について。

 多くの人は「グー握り」で磨いているのではないでしょうか。しかし、この握りでは力が入り過ぎて、歯ブラシを細かく動かす操作性にも欠け、歯茎を痛めやすいので、歯ブラシはペンを持つように握る、「ペングリップ」をお勧めします。操作性がよく、細菌塊を効率的に除去できます。

 続けて「磨き方」について。

「子どもの歯磨き」では歯ブラシを横に寝かして左右に磨く「横磨き」をする人が多い。しかし、実は歯はカーブしていますし、とりわけ臼歯などは凸凹しているところも多く、横磨きだけでは「歯のカーブ」と「隣の歯との間」の汚れは落とせない。従って、横磨きを基本としつつ、歯ブラシを縦にして、大根や人参の皮をピーラーでむくように動かす「縦磨き」も欠かさないでください。

 横磨きと縦磨きで、歯の見えるところの汚れは落とせたとしても、見えないところにはなかなか手が届きません。つまり、歯周ポケットです。年齢が上がるにつれトラブルの元凶となる所です。

 ここにたまった細菌塊を取り除くには「バス法」と呼ばれる磨き方が必須です。歯茎に対して歯ブラシを平行に当てるのではなく、45度に傾け、毛先を歯と歯茎の間(歯周ポケット)に差し込むようにして磨く。こうすることで初めて、歯周病菌のたまり場である歯周ポケットもちゃんと磨いたことになります。

 バス法だと、歯茎を傷つけてしまうのではないかと恐れる人もいると思います。事実、バス法を試すと歯茎から血が出る人が少なくありません。でも、この血を気にする必要はない。歯周病になると、炎症反応が起きるため歯茎に血液がどんどん送り込まれてきます。そのため、少しの刺激でも出血につながるのですが、その血の中には炎症性物質や歯周病菌が大量に含まれています。いわば「悪い血」であり、むしろ出し切った方がいい。「出血で歯磨きをやめるのは、本末転倒」なのです。

フロス・オア・ダイ

 バス法を約2週間続けて悪い血を出し切り、歯周ポケット内の細菌塊を除去すれば、血液凝固作用を阻害する歯周病菌がなくなるため血液が固まりやすくなり、多少の刺激では出血しなくなる。つまり、軽度の歯周病は、自分で治すことができます。

 以上が「本当の歯磨き」の正しい時間、歯ブラシの持ち方、磨き方です。

 次に大切なのは、歯ブラシ以外の道具です。フロス(糸ようじ)と歯間ブラシがあります。

 欧米には「フロス・オア・ダイ」、つまり「フロスをしろ、さもなくば死ね」という言葉があるほど重視されています。フロスや歯間ブラシを、歯と歯の間に差し込むことで、ここにたまった細菌塊や、歯茎にたまった悪い血を除去し、デトックスできるのです。実際、歯周病の進行が止まり、症状が改善する人がたくさんいます。

 さらに、総仕上げとして「歯茎磨き」が不可欠です。「歯茎を磨く」なんて、非常識なのでは? しかし、実際は、歯茎の上には、驚くほどたくさんの細菌が残されているのです。

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