近所のゴミ置き場を荒らすカラスは駆除してほしいけど、田舎に出没するクマやイノシシは殺さないで…なぜ人は害獣駆除について“矛盾した思い”を抱えるのか

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カラスがたくさんいて怖い

 猟友会のなり手が少ない、という報道も昨今あるが、A氏は「現在、猟師の数は増えてもいないし、減ってもいないのではないでしょうか。鉄砲を持っている人はかなり多いと思いますが、とにかく手続きが面倒で、メンバーに若い人が少ないのは事実です。高齢のメンバーが亡くなったら本格的に減っていくかもしれませんね」と語る。これから人口は減少し、山を手入れする人手が減る上に、駆除する人間も減ったら害獣が住宅地に現れる恐れも増える。

 なお、猟友会メンバーは自治体から報奨金をもらったうえで、肉を売って多額の儲けがあるのでは? という疑問を抱く人もいると思うがA氏は明確に否定する。

「そんなわけないですよ! 自治体が認めた処理施設がないと肉の販売はできないんです。基本的には手間かけて捌いて、知り合いに分ける程度のものですよ。害獣駆除長者なんてあり得ない!」

 このように、猟友会と自治体は住人のために、と日々の活動を行っているわけだが、それでもクレームは終わらない。クマやウリボウが可哀想だから駆除するな、というクレームがあることは前出の通りだが、県庁のB氏によるとカラス駆除に対してもクレームが来るという。ただし、ベクトルは全く異なる。

 その内容は「カラスがゴミを荒らしていて困る」「カラスがたくさんいて怖い」などだ。また、鳥インフルエンザの報道があると、カラスをさっさと駆除しろ! という電話が寄せられるのだという。これらは県内住民からの声ではあるものの、単に感傷的なものではなく、生活を脅かすものであるため、B氏は理解できると述べる。そして最後にこう語った。

「役所にクレーム電話をする都会の人って自分の生活エリアに害獣がいても気にならないんですかね……? 小さなお子さんがいるご家庭であればなおのこと、近所にカラスが集まっていたら“怖い”“駆除してほしい”と考えるのが一般的ではないかと思うのですが」

デイリー新潮編集部

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