みずほFG「5000人削減」の衝撃 企業に必要な人間は「トップと役員、少数の営業担当ぐらい」…AIの爆発的な進化がもたらす「人類総“無職”時代」のリアルを気鋭の経済学者が解説
第1回【AI失業について「ChatGPT」に質問すると…日本では4年後までに“700万人が失業”と衝撃回答 “消滅危機”と名指しされた“さむらい業”の具体名とは】からの続き──。読売新聞オンラインは2月27日、「みずほFGが事務職5000人削減へ…事務センターにAI本格導入、配置転換進め収益力強化」との記事を配信した。(全2回の第2回)
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【写真を見る】「あぁ、なるほど…」「えっ、そんな仕事も?」 ChatGPTが導き出した「10年後に激減する職業」
記事によると、みずほFG(フィナンシャルグループ)は全国の事務職員約1万5000人を対象に、今後10年で最大5000人減らす方針を固めたという。大規模なリストラの背景にあるのは、AIの飛躍的な発達だ。
AIを活用すれば人間がデータを入力したり、資料を読み込んだりする必要がなくなる。つまり事務職が担当していた仕事は大半がAIに委譲できる。そのためリストラを進めるという。解雇はしない方針で、配置転換を進めていく。ただし事務職の新規採用は抑制する方針のようだ。
日本でもアメリカのような「AI失業」が現実味を帯びてきた、と再認識させられる。ここで専門家が注目しているのが「SaaS」だ。
SaaSは「サース」もしくは「サーズ」と発音する。「Software as a Service」の略語であり、日本語の訳語は定着していない。一部のメディアは「業務ソフト提供サービス」や「クラウド型ソフト」などと翻訳しているようだ。
駒澤大学経済学部准教授で経済学者の井上智洋氏は、大学生の時はコンピュータ・サイエンスを専攻し、AIに関するゼミに所属していた。その後、マクロ経済学を専門とする経済学者に“転身”した経歴の持ち主だ。
経理ソフトも経理担当者も不要になる日
AIと経済学の知見を活かして『AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うか?』(SB新書)、『人工知能と経済の未来』(文春新書)などの話題作を次々に上梓している。
そんな井上准教授が注目するのが、アメリカの株式市場で2月、このSaaS関連株が急落したことだ。
株価が下落したSaaS関連株の中には、セールスフォースやアドビといった日本人にもなじみの深い有名企業が含まれている。一体何が起きたのか、井上准教授が言う。
「関連株が下落したのは、アンソロピックというベンチャー企業が『Claude Cowork』というAIエージェントを開発したのが直接の原因です。このAIを使えば、プログラミングの知識がないユーザーでも日常的な言葉で指示を与えることで、データ分析や資料の作成、それから業務プロセスの自動化が可能になります。つまり特定の経理ソフトや業務管理アプリを購入・導入する必要がなくなるため、ソフトウェアサービスを提供する『SaaS企業』は将来性に不安があると判断され、株が売られたわけです」
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