みずほFG「5000人削減」の衝撃 企業に必要な人間は「トップと役員、少数の営業担当ぐらい」…AIの爆発的な進化がもたらす「人類総“無職”時代」のリアルを気鋭の経済学者が解説

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企業から人がいなくなる

 では、さらにAIが進化した状況を考えてみよう。より簡単に、誰もが自由に、どんな業務にも対応可能なソフトウェアをAIで開発できる時代が来たとする。どんな社会が到来することになるのだろうか。

「大前提として、今年2026年から2030年にかけての5年間で、AIの技術が爆発的に進化するのは間違いありません。OpenAI社CEOのサム・アルトマン氏が、『2025年が人類にとって最後の普通の年になるだろう』という意味のことを言ったと伝えられています。私も今年以降は、AIの進歩が尋常ではない勢いで加速していくものと思っています。人事、経理、総務、法務、情報システム、マーケティングといった部署では多くの労働者が不要となり、AIが業務を代行するようになります。一般的な企業で人間を必要とするのは企業のトップとAIに指示して新たなモノを生み出すクリエイター、あと少数の営業担当ぐらいではないでしょうか」(同・井上准教授)

 AIの爆発的な進歩は、短期的なスパンであれば一部の中小企業にメリットをもたらす。井上准教授は「AIの徹底的な活用に成功すれば、中小企業が大企業に勝つことも可能です」と予測する。

 大企業がAIによって生じた余剰人員を持て余して苦しむのを横目に、もともと人手不足に悩んでいた中小企業はAIをフル活用することで少数精鋭の組織を構築できる。徹底した省力化で人件費を圧縮し、利潤を最大化できるチャンスになるわけだ。

急速な無人化

「とはいえ、社会全体としてはディストピアの到来が懸念されます。AIの爆発的な進化は、ありとあらゆる産業で徹底した省力化、無人化を可能にします。例えば農業はAIに置き換えられないというイメージをお持ちの方も多いでしょう。ところが現在でも『スマート農業』という言葉があるように、農業は実はAIと相性がよい産業です。いずれはAIが管理する無人農場で農作物や家畜が育ち、収穫や出荷を行う可能性は高いのです。AIによる無人化は一次産業から三次産業まで全てが対象になりますから、全世界で確実に失業者が増えることになります」(同・井上准教授)

 ディストピア社会の到来が、少しだけなら遅くなる可能性も考えられる。例えば少子高齢化が進む国であれば、AIによる省力化は労働人口の減少による人手不足を補うのに適しているだろう。この場合は生産活動の省力化は福音になる可能性がある。

 とはいえ、全世界でありとあらゆる産業で無人化がドラスティックに進む余波は大きい。例えば自動車産業を考えてみよう。そもそも原料である「鉄」を作る際も労働者は必要ない。鉄鉱石、コークス、石灰岩はAIが制御する無人鉱山でロボットが採掘を行い、無人のトラックや貨物船で製鉄所に向かう。そして製鉄所にも自動車工場にも働いている人間は誰もいない──。

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