米中の戦闘機が黄海上で対峙 「台湾侵攻なら北京空爆」と習近平を威嚇したトランプ 李在明は米国に八つ当たり
奇妙におとなしい中国
4月に予定される米中首脳会談を前に、トランプ大統領は習近平主席を徹底的に締め上げているのです。これには中国もやけにおとなしい。
2月24日の記者会見で、中央日報の記者から「黄海対峙」に関する質問が出ましたが、外交部報道官の回答は以下のように短く、穏健なものでした。
・Regarding the U.S. aircraft’s activities in relevant air space of the Yellow Sea, the Chinese military tracked and monitored the activities and stayed on alert throughout the process and effectively responded to and handled the situation in accordance with laws and regulations.
「中国軍は法と規則にのっとり状況に適切に対処した」というだけで、「挑発してきた米国」に対する評価は一切、言及しませんでした。これまでの慣例を破って圧迫してきたのですから「米国はアジアの平和と安定を尊重せよ」くらい言ってもいいはずです。
外交部の答弁からは米国との対決を避けたい思惑が感じられます。あるいは、最近の人民解放軍最高幹部の相次ぐ粛清にも関係するのかもしれません。
米国に文句を言った韓国
――韓国はどう反応しましたか?
鈴置:李在明(イ・ジェミョン)政権はこの事件を機に、何と米国と戦い始めたのです。韓国各紙によると、2月19日、安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官がブランソン司令官に対し、電話で抗議しました。
「米中対峙の事態に陥るほどに在韓米軍機を中国の防空識別圏に接近させた」とまで明確に抗議したかは不明です。ただ、「演習内容を事前に知らせて欲しい」とは求めたようです。
いずれにせよ、米中軍事衝突の飛び火を恐れる韓国は「自分の庭先で中国とケンカしないでくれ」と泣きついたのです。左派系紙ハンギョレの社説「朝鮮半島の『対中国発進基地化』は絶対に容認できない」(2月20日、日本語版)が韓国人の心情を代弁しています。
・米軍は北京の目と鼻の先にある敏感な地域に戦闘機を近づけておきながら、この訓練の計画や目的について韓国に何ら通知していなかった。
・在韓米軍が朝鮮半島の「地政学的利点」を最大限に活用しうる烏山(オサン)と群山(クンサン)の第7空軍を中国けん制のために積極的に動かしはじめたと判断せざるを得ない。
・政府は、在韓米軍が韓国の「許可なしに」朝鮮半島内の米軍基地を中国けん制のための発進基地として使用できないよう、早急に制度的な安全装置を整えるべきだ。
――米軍はどう反応しましたか?
鈴置:ブランソン司令官は訓練に関し、韓国側に予め通知していたなどと反論したのですが、韓国メディアは「ブランソン司令官は韓国に謝罪した」と報道。さらに国防部が「(謝罪報道は)一部事実と認識している」とコメントしたのです。米国から一本とった形にしようとしたのです。
しかし、在韓米軍司令部は2月24日深夜、これを完全に否定し「有事への備えに謝罪などしない」との声明を発表しました。今後も必要とあらば中国との対峙を躊躇しない、と宣言したのです。
米韓の間に大きな亀裂が入りました。中国を最大の仮想敵に据える米国と、中国とは戦うつもりは一切ない韓国が衝突したのです。
[3/4ページ]


