高市政権を待ち受ける“対中強硬路線”の代償…“レアアース危機”が国民生活を直撃しても“強気”を貫けるか

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 第2回【“高市旋風”を生んだ「若者の右傾化」でも「排外主義の高まり」でもない“理由”…リベラルが読み違えた「ルールを守らない外国人は出ていってもらう」発言の影響とは】からの続き──。衆院選で自民党が圧勝した理由の一つに中国問題がある。昨年11月、高市早苗首相は衆議院の予算委員会で台湾有事が存立危機事態になり得ると答弁、中国は猛反発した。(全3回の第3回)

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 中国は観光や留学などによる訪日の自粛を求めたほか、レアアースの実質的な輸出規制にも踏み切った。ところが中国が圧力を強めるほど日本の有権者も反発。多くの識者や専門家が今回の衆院選で自民党が大勝した理由の一つとして「中国の圧力」を指摘している。

 アメリカ政治・外交、国際関係論が専門で、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科の三牧聖子教授は、「高市氏の対中強硬路線を有権者は評価した格好ですが、私は懸念のほうを強く感じています」と言う。

「高市氏が衆院選で大勝したため中国側も長期政権を想定し、無視することはできなくなる。『対話のチャンネルを開かざるを得ないはずだ』と一部のメディアが報じていますが、私は少し楽観的すぎる予測ではないかと思っています。訪日観光客や留学生が減少しても、その影響は限定的かもしれませんが、レアアースの実質的な輸出規制は今後、日本経済を苦しめる可能性があります。何しろ自動車産業や電気産業など産業界全体に広範な悪影響を及ぼします。経済界が高市氏に中国との関係改善を求めても不思議はないはずです」

独裁的国家の“強み”

 高市氏も南鳥島でレアアースを含む泥を採取したり、中国に依存しないレアアースのサプライチェーンの構築を呼びかけたり、と様々な対応策を打ち出している。

 三牧教授も「政策としては正しい」と評価した上で、「あくまでも中長期的なスパンの政策であり、残念ながら短期的な対応策にはなっていません」と言う。

「衆院選で有権者は高市氏の“対中強硬路線”を是とし、野党側の『対中関係を改善すべき』との批判を“弱腰”と受け止めました。しかし国会での論戦が始まると流れが変わる可能性もあります。レアアースの問題が深刻化するほど、少なくとも産業界は野党の主張に賛意を示すかもしれません。さらに中国が権威主義・独裁主義的な国家だということも忘れてはいけません。つまり、中国国民や経済に大きな損害があったとしても、それを無視して環境問題を軽視してレアアースの採掘・精錬コストを引き下げることも、日本に実質的な輸出規制を発動することもできます。一方の日本は民主国家ですからレアアースの国産化を目指すにしてもコストの問題を無視することはできません。中国に権威主義・独裁主義的な国家である“強み”を最大限に発揮されると、日本にとっては厳しい局面が増えるはずです」

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