高市首相に対する中国の強硬な姿勢が“自民圧勝”を招いたのか? 「争点なき総選挙」の勝敗を分けた自民と中道の“埋めがたい違い”
野田佳彦氏は「弱腰」と解釈
レアアースの問題に関して高市氏は中国依存から脱却すべきだと主張している。南鳥島で泥の試験採掘を実施し、世界各国と協調してサプライチェーンを構築しようと呼びかけている。
「高市氏の主張は、中長期的に見れば正しい政策です。とはいえ日本国内の産業界は直近の課題としてレアアースの不足に困っているわけです。短期的には泥の採掘もサプライチェーンの構築も打開策にはなり得ません。さらに日本は他にも多くのものを中国に依存しています。例えば抗生物質です。中国が抗生物質の輸出を止めると、日本の医療現場は大変な事態に陥ります。にもかかわらず、野田氏の主張を有権者は『弱腰』と解釈しました。必要以上に中国に対してこびへつらっていると受け止めたわけです。一方、高市氏の主張は『毅然として言うべきことを言っている』と高く評価しました。以上の経緯を踏まえると、対中関係は総選挙における重要な争点だったのであり、高市氏の“対中強硬”の主張に少なくない有権者が賛同したことも自民が圧勝した理由だったのではないでしょうか」(同・三牧教授)
三牧教授の指摘はデータの裏付けもある。テレ朝NEWSは2月11日、「“高市総理”含むX投稿1日200万超 SNSの話題は「参政」から「自民」へ 「株価乱高下のような」トレンド変化」との記事を配信した。
裏付けたSNSのデータ
テレビ朝日は選挙期間中のSNSを分析。すると高市氏が解散を表明した1月19日と20日に「衆院選は『中国VS日本』」だと訴える保守系インフルエンサーの投稿が広く拡散したという。多くの有権者が中国問題に関心を持ち、なおかつ安易な妥協には否定的だったことが浮かび上がる。
後で詳しくお伝えするが三牧教授は高市氏の“対中強硬路線”に強い懸念を持っている。懸念を抱く理由の一つに「米中関係を良好に保ちたいとするドナルド・トランプ大統領の方針と齟齬を生じ、日中関係に悪影響を及ぼす可能性」という重要な問題がある。
また「対中強行派の高市氏にあれだけの支持が集まったのは、日本が右傾化している証拠だ」という、いわゆる“リベラル派”の分析に対しても、三牧教授は「もっと丁寧に選挙結果を分析する必要がある」と指摘する。
第2回【“高市旋風”を生んだ「若者の右傾化」でも「排外主義の高まり」でもない“理由”…リベラルが読み違えた「ルールを守らない外国人は出ていってもらう」発言の影響とは】では、まず三牧教授が「実は高市氏は衆院選で対中強硬路線を主張することに勝機を見出していた」という興味深い分析を行っていることを紹介する。
さらに「リベラル派の若者が対中強硬路線を支持したことだけで日本の右傾化を指摘するのは早計だ」という論点についても詳しくお伝えする──。
註1:【報ステ全文】解散の大義は?経済成長は?日本外交は?7党の党首生出演(テレ朝NEWS:1月26日
註2:【衆院選2026】台湾有事 論戦振るわず 最大の争点は物価高対策(産経新聞:1月31日)
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