武蔵小山「地上げ放火事件」 焼け跡から浮上した“渦中の物件”の意外すぎる来歴

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 東急目黒線武蔵小山駅の駅前にそびえるビルに沿って歩くこと3分。かつては多くの飲み屋が軒を連ねた一帯を抜けると、ガラリと雰囲気が変わる。細い路地が入り組み、木造の戸建てやアパートが建ち並ぶ地域になるのだ。その一角で起きた放火事件に関与したとして、警視庁捜査一課が、内藤寛己容疑者(31)ら6名を非現住建造物等放火などの疑いで逮捕した。地上げ目的ではないかと報じられたこの事件から、意外な名前が浮上した。

報酬100万円

 意外な名前とは、「長嶋茂雄」と東京・銀座の「丸源ビル」。これらが浮き彫りとなった経緯を順に追っていきたい。

「首謀者の内藤容疑者は、東京都内の不動産会社『D・R・M』の社員。D・R・Mは都内にある別の不動産会社Aから依頼され、マンション建設に向けた土地の買収と不動産の管理、近隣住民の取りまとめを行っていました」

 と、警視庁詰め記者。2月18日、内藤容疑者が逮捕された容疑は二つで、

「内藤が知人の男2名と共謀し、2025年10月31日の午前5時10分ごろ、60代の男性が住む品川区小山の民家の外壁にガソリンを撒いて放火した疑い。これが一つめで、もう一つは、25年11月18日午前1時10分ごろ、別の知人の男3名とともに、前述の民家に隣接するアパート内にガソリンを撒いて放火し、室内の壁などを焼損させた疑いです」

 内藤容疑者が指示役で、知人5名が、道具の準備や現場までの運転、犯行の実行役を担ったとされる。

「民家の男性が売却を拒否していたため、すでにA社が所有者となり内藤が管理していたアパートに火をつけたとみられます。アパートへの放火の実行役3名のうち2名が“100万円の報酬を受け取った”と供述しており、警視庁は“地上げ目的”の犯行とみて、D・R・Mの関与についても引き続き捜査しています」

 事件後3カ月経ったいまも、アパートや周辺の物件には、D・R・Mが管理する旨の表示が残ったままである。

前所有者

 それらの表示を前に、不動産業者の男性が呟く。

「放火されたアパートやその周辺の複数の物件は25年10月31日にA社の所有となっていましたが、その前の所有者は、都内のBという不動産会社。元は競売物件だったアパートを24年6月6日に取得していました。事件によって、工期がとうに過ぎている解体工事の標識も残ったままですよね。そこに、B社の名前が載っているのです」

 もちろん事件とは直接の関係はないが、他ならぬこのB社が、業者のあいだで話題のタネになっているという。

「B社の会長は、晩年の長嶋茂雄さんが親しく付き合っていた方なんです。昨年6月にミスターが亡くなった際も、親族や関係者を除いて、長嶋邸で最初に対面した松井秀喜さんの次に会われているほどで、食べ物や洋服の趣味も合ったとかで、ミスターの脳梗塞のリハビリにも顔を出していた。そういう方が業界にいるんだ、と、B社と会長の名前が知れ渡りました」

 B社の社名が業界内で広まった理由は、実はもう一つある。

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