日本はいつの間にスノボ大国に? メダルラッシュの理由とは… 活路を開いたのはお騒がせな「あの選手」
異常な練習量
わずか14歳で、トップクラスの選手のみが招待されるXゲームに出場した平野は見事2位を獲得。その後はソチ五輪、平昌五輪で銀、北京五輪では金……と、華々しい道を歩んできたのはご存知の通りだが、まだ話は続く。
「いま最前線で活躍している選手たちはみんな、14歳でXゲームに出場した平野選手に憧れて、スノボに励んできました。金メダルを取った戸塚選手は当時10歳、銅の山田琉聖選手(19)は5歳ぐらいのことです」(野上氏)
憧れの対象が平野だったことは“幸運”だった。
「平野選手はいわゆる“スポ根”。選手の間では練習量が異常だと有名です。子供の頃から、朝から晩まで誰よりも長く滑っていたといわれています。だから平野選手に憧れているほかの選手たちもみんな練習熱心なんです」(同)
先の田中氏が後を継ぐ。
「例えば海外の選手は山に霧が出ると帰ってしまう。たしかに視界が閉ざされるので、ジャンプやハーフパイプはできないんです。でも日本人選手はそういうときには人工物を使った練習など、できることをやりますね」
練習熱心に加え、日本はトレーニング環境が充実しているという。
「03年、兵庫県神戸市に〈神戸キングス〉という雪を使わないジャンプ施設が誕生しました。現在は、そこから派生した施設が、全国に13カ所あります」(野上氏)
「4000万円かけたが、最初の5日間はお客さんがゼロで……」
この練習場で特徴的なのは、雪の代わりにエアマットを使用していることで、世界初の試みだった。おかげで季節を問わず、ビッグエアの練習に打ち込めるようになったという。
神戸キングスを創設したキングスグループの押部宣広(たかひろ)代表が語る。
「最初に作ったときはプロが輩出するとか考えてなかったです。完全に遊びで、みんなとワイワイすることをイメージしていました。雪山で無茶したらケガするけど、ここなら少々の無茶は大丈夫、という感じ。4000万円くらいかけて造りました。でも、オープンしてから5日間でお客さんはゼロ。芝を滑るのはダサいと思われたんだろうね」
とはいえ、そんな画期的な練習場がいつまでも埋もれているはずはなく、徐々に口コミで存在が知られるようになる。
「最初はみんなそこで練習しているのを内緒にしてたんですよ。ほかのライダーに教えたらみんなうまくなっちゃうからね。それでも有名ライダーが集まってきたし“うちでも造りたい”という人も出てきたので、08年ごろからフランチャイズを増やしていきました」(同)
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