「何をやっても同じに見える」主演俳優ばかりの芸能界で… “32歳実力派女優”が本領発揮
1話ゲストで出演すると、瞬時に説得力とリアリティーをもたらす。その表情やしぐさに感情をぐいっともっていかれる。華はなくとも実がある、そんな俳優があまたいる日本の芸能界だが、ドラマ界では実がなくても華のある人を主演に据えることが多い。集客力と話題性重視で、結果的に何をやっても同じに見える主演級俳優が誕生してしまう。
が、実力重視で託したいという制作側の願いが込められているように見えたドラマがある。タイトルに名前も入っている「未来のムスコ」。劇中の役名も未来、託されたのは志田未来。なぜ息子をカタカナにしたのか不明だが、役者・志田未来が本領を発揮できる良作だ。
志田が演じるのは、劇団アルバトロスに所属する汐川未来。オーディションを受けても落ち続け、劇団の公演だけでは食っていけず、複数のバイトを掛け持ち。つましい生活で、晩酌のレモンサワーが唯一のぜいたく。
仲間でライバルでもある新山桜子(さくらこ/藤原さくら)が劇団を辞めて映像の仕事へ。新しい世界へ羽ばたいていく友人を複雑な気持ちで送り出す未来。バイト先のコールセンターでは、役者業に理解のある上司(ビビる大木)から正社員の話を持ち掛けられてもいる。28歳、バイトと芝居に明け暮れて、売れる気配も貯金もなし。
そんな未来の目の前に突然、5歳児が現れた。彼の名前は颯太(天野 優)。落雷で停電した際に「2036年から来た」という。未来をママと呼び、父親のまーくんと仲直りさせるためにタイムスリップしてきたというのだ。自分一人で手いっぱいなのに、突然子供を養育できるわけもない。交番に預けたものの、情に絆(ほだ)されて、颯太を育てることに。
まーくん、つまり未来の夫は誰なのか。まず、元彼で劇団の座長・吉沢将生(まさき/塩野瑛久)。彼の浮気(実は誤解)で別れたものの、同じ劇団の同志としては腐れ縁だ。もう一人、久しぶりに再会した同級生で、住民票も保険証もない颯太を預かってくれた保育園の保育士・松岡優太(小瀧 望)。さらには劇団の仲間で、実は呉服屋のボン・矢野 真(まこと/兵頭功海〈かつみ〉)。まーくん候補が皆イケメン&好人物なわけですよ。
SFだが、案外近々の設定。5年後に結ばれる相手が誰なのか、相手を間違えたら颯太が生まれてこないというリスクもはらむし、そもそもいきなり子育てのタスクはキツい。無理ゲーと思いつつも、志田未来が演じるとリアリティーと説得力と親近感が増し増し。さまつなことだが、家に帰ったらしっかり鍵をかけるところとかすごく好き。唐揚げの動画見ながら豆苗炒めを食べるところもすごく好き。ドラマの仕事でアドバイスした若手に、逆に出し抜かれてセリフまで奪われた時の悔し泣きも好き。志田未来は主役の器と改めて痛感。
で、未来と颯太の今後を託されたのは、隣人の理系大学生・芥川 圭(萩原 護)ね。そもそも颯太は本当に息子なのか。10年先から息子が来るというのは安泰の未来という福音か、はたまた誤った選択への警告か。まーくん別人物説も捨てずに、邪推しながら楽しんでいる。








