「笑われている」気がしない…レインボー池田の「美容」が女性に刺さる理由 従来の“女装ネタ”とは一線を画す「誠実な中身」

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経験による裏打ち

 さらに重要なのは、池田が美容に対して真剣に向き合ってきたということだ。スキンケアやメイク、体型管理といった領域において、彼の発言は表面的な知識の紹介ではなく、実際に試し、失敗し、改善してきた経験に裏打ちされている。

 美容について語る際にも、美容の専門家のように正解を提示するのではなく、自分も試行錯誤して悩んできた側であることを前提に話をする。この姿勢が、完璧さを競う美容業界の空気とは異なる安心感を生み出している。理想像を押し付けるのではなく、コンプレックスや迷いを含めて共有することで、視聴者は親近感を持つことができる。

 ここには、美容をめぐる価値観そのものの変化も関係している。かつて美容は女性の専有領域として扱われがちであり、男性が美容について語るのは違和感があった。しかし現在では、男性のスキンケアやメイクも一般化し、「美容は自己管理や自己表現の一部である」という認識が広がっている。池田はこの流れの中で、男性でありながら女性の美容文化を理解して、尊重しながらそこに参加する存在として受け止められている。

 池田が美容芸人として人気を博しているのは、単に美容に詳しいからではない。コントのために女装のテクニックを磨いて、笑いと美容という領域を軽やかに横断しながら、女性の感覚に寄り添う表現を続けているからこそ、これだけの支持を受けているのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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