愛子さま“鴨場デビュー”の深い意味 天皇陛下が「プロポーズ」の舞台に選ばれたのも…「天皇家」と「鴨」の知られざる縁とは
天皇の料理番も調理
鴨料理はその後、庶民の間にも広まり、江戸時代の中期には高級な鴨鍋に対して、真鴨とアヒルを交配した合鴨を使った鴨南蛮が庶民の冬の定番となったとされる。また鴨場を設置し、古式鴨猟の技法を保護するよう命じた明治天皇が、出席した昼食会で食して特に気に入ったと伝わる鴨料理もよく知られる。鴨肉のカレーライスだ。
TBSの開局60周年特別企画として2015年に放送され、大ヒットしたドラマ「天皇の料理番」で、俳優の佐藤健さんが演じた秋山徳蔵氏はこの伝承も踏まえ、カレーを宮中料理に加えている。「天皇の料理番」は、宮内省大膳寮(現・宮内庁大膳課)で料理長に当たる厨司長を務めた秋山氏の生涯を描いた小説が原作。昨年暮れ、26年ぶりにNHK紅白歌合戦に出場した歌手で俳優の堺正章さんが1980年に主演を務めたほか、93年にも個性派俳優の高嶋政伸さん主演によるリメイク版が放送されるなど、3回にわたってドラマ化されている。
さらに、旧伏見宮邸の跡地に戦後、建てられたホテル・ニューオータニにあるフレンチの名店「トゥールダルジャン東京」は、セーヌ川のほとりに本店を構え、「銀の塔」を意味する「トゥールダルジャン」唯一の支店である。その名物は鴨料理で、フランスの本店では昭和天皇が皇太子時代に食し、大変気に入ったとの秘話も残る。
ただ、こうした鴨と皇室の深い縁(えにし)の中でも、やはり特筆すべきは鴨場が天皇陛下と皇后雅子さまのプロポーズの舞台となったという、あの有名なエピソードだろう。雅子さまは、まだ皇太子だった天皇陛下と1992年8月16日、外務省からの在外研修留学で英国のオックスフォード大学ベーリオールコレッジで学ばれていた期間を挟んで5年ぶりに再会されている。
プロポーズの舞台に
再会場所がご自身の父・小和田恆氏の外務省時代の先輩に当たる柳谷謙介元外務事務次官宅となったのは、当時の藤森昭一宮内庁長官から依頼を受けた柳谷氏が、皇居からほど近い東京都千代田区五番町の自宅を「逢瀬の場」として提供したためだ。
お茶を飲みながら近況を話し合われた天皇皇后両陛下は、ここでデートの約束を交わされ、人目に付きにくい新浜鴨場を選ばれた。そして在位中の上皇上皇后両陛下が国体(現・国スポ)の開会式出席のため山形県に旅立った10月3日の朝、天皇陛下はお忍びで鴨場を訪れ、雅子さまと昼食を摂った後に「結婚していただけますか」とプロポーズされた。外交官の道を歩み始めていた雅子さまは熟考の末、12月12日にご結婚を決意。クリスマスの同25日、天皇陛下とともに上皇上皇后両陛下と御所で面会して婚約が内定したという経緯(いきさつ)だ。
愛子さまは2023年5月30日の夜、天皇皇后両陛下の即位5年と結婚30年を記念して東京・日本橋の高島屋で開催されていた特別展の会場を、ご一家3人でご訪問。天皇陛下にこのプロポーズの言葉を再現するようお願いしたという、ほほ笑ましい逸話もある。
その愛子さまの鴨場デビューは、昨年2月14日のこと。新浜鴨場で佳子さまと一緒に「ペア」で公務に臨まれた。そして、同年12月は、初めて単独で臨まれた。ノルウェーやメキシコなど、16カ国の大使ら一人一人に笑顔で「お会いできてうれしいです」などと英語を交えて声をかけられていた。
天皇ご一家がさまざまな困難を乗り越えてきた背景には、ご夫婦の円満な関係がある。夫婦円満の象徴とも言われる鴨だが、ラオスへの外遊と鴨場接待のダブルデビューで皇室外交を本格化された愛子さまの“未来”を、天皇皇后両陛下はどう描かれているのだろうか。
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