渡辺直美、ネタやトークができなかった「ピン芸人」はなぜ、東京ドーム公演を即日完売できたのか

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フォロワー数で日本一

 インスタグラムでアップする写真がおしゃれで面白いと評判になり、フォロワー数で日本一になった。ぽっちゃり体型の女性向けのファッションブランド「PUNYUS」をプロデュースし、ファッションイベントへの出演も増えた。

 2016年には自身初の海外ツアーを開催し、ニューヨーク、ロサンゼルス、台北の3カ所を回り、言葉を使わないパフォーマンスで会場を沸かせた。2021年には本格的にニューヨークに拠点を移した。2023年には全米7都市を回るライブツアーを行い、2024年にはニューヨークで初のスタンダップコメディ単独ライブを開催した。

 今では言葉を使わないパフォーマンスだけではなく、英語で漫談をするようになっている。BBCが発表した「2024年を代表する女性100人」にも選出され、「日本で最も有名なインフルエンサーの1人」と紹介された。

 従来の「ネタやトークができないと一人前の芸人ではない」という価値観に縛られず、自分の得意なことを徹底的に磨き上げることで、渡辺直美は新たな芸人像を確立した。彼女の芸の根底に流れているのは「目の前の人を楽しませるために全力を尽くす」というニューヨークで学んだ表現者としての魂である。

 東京ドームという日本最大級の会場での単独公演は、彼女のこれまでのキャリアの集大成となるイベントである。芸人の枠を超え、日本という枠も超えて世界的なエンターテイナーへと成長した渡辺直美。彼女の挑戦は、日本のお笑い文化の新しい可能性を示している。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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