1.6億回再生の「高市動画」だけではなかった… 自民圧勝を支えた「もう一つのネット戦略」とは

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 自民党大勝の要因の一つとして指摘されているのが、高市早苗首相(64)が登場する動画広告だ。巨額の広告費で1億6000万回という異常な再生回数をたたきだしたその仕組みと舞台裏とは。

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中道は330万回再生

 各政党がネット広告に注力する中、特に話題を呼んだのがYouTubeの自民党公式チャンネルに投稿された、とある動画である。

 広告としても配信されているこの31秒の動画では、ネイビーのジャケットにパールのネックレスをあしらった高市首相が、笑顔を見せながら、

「挑戦しない国に未来はありません。守るだけの政治に希望は生まれません」

 こう語りかける。

 いかに短期間に多くの人の目に触れたのかは、公示日前日の公開から投開票日までに約1.6億回に達した再生回数が物語っている。他党と比較してもこの数字は突出しており、3000万回再生の参政党以下を大きく引き離した。大敗した中道改革連合はわずか330万回。自民党はネット空間でも他党を圧倒したといえよう。

自動で広告枠に入札

 SNSでは自民党が1.6億回再生を達成するため、いくら広告費を費やしたのかも話題となった。

 企業のYouTube運営を手がける「株式会社動画屋」の木村健人代表が言う。

「YouTube広告というのは、Google広告の一部です。Googleで検索すると、検索結果の一番上に『スポンサー』と表示される広告がありますよね。あれがGoogle広告のウェブ版。その動画版がYouTube広告だと考えると分かりやすいと思います。サービスの一番の強みは、誰に届けるかを非常に細かく設定できるところでしょう」

 特徴的なのは広告の出稿が「オークション形式」であることだ。

「入札制なので“1回10円で出します”という広告主と“100円出します”という広告主がいたら、100円を提示した広告主の広告が優先的に表示されます。ただし、Googleは競りの計算を自動でやる。広告主は細かい入札の代わりに、1日の広告予算額を設定します」(同)

 例えば“1日1万円まで”と上限を決めると、1万円の範囲内でGoogleが自動的に広告の枠に入札するのだ。

「現実的なラインは2億~3億円」

 以上のような特殊な仕組みを前提に、件の動画の広告費を木村氏が試算する。

「YouTube広告の単価は配信の仕方にもよりますが、例の自民党の広告は1視聴あたりだいたい1.5円から高くても2円が目安だと考えられます。1.6億回、全て広告として再生された場合、仮に1視聴1.5円で計算すると2.4億円、2円で計算すると3.2億円。なので、2億~3億円くらいが現実的なラインだと思います。1日あたりの上限予算を2000万円程度に設定して、ターゲットなどを定めずに広告を配信したものとみられます」

 もっとも、“高市旋風”は党の動画広告だけで起きたわけではない。「高市首相はカネになる」と踏んだショート動画作成者たちが、高市氏に関するショート動画を大量に作成した結果、広告費を使わずとも多くのユーザーの目に触れることに成功したのだ。1億総スマホ時代に特化したこうした広報戦略はいったいどのように生まれたのか、2月12日発売の「週刊新潮」で詳しく報じる。

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