ケンコバ、小峠、田中…なぜ「独身芸人」が次々結婚? 「破天荒な生き方」が通用しなくなったお笑い界の今

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呪縛から解放

 また、芸人が活躍する期間が長くなり、テレビに出る芸人の高齢化が進んでいることの影響もある。かつては40~50代の中年芸人が第一線で活躍し続けるケースはほとんどなかった。しかし、最近ではそれが珍しいことではなくなった。長く仕事を続ける中で、生活や価値観が変化していくのは自然なことであり、むしろ家庭を持つことが安定した活動につながる場合も多い。

 実際、近年では錦鯉の長谷川雅紀、バイきんぐの小峠英二、アンガールズの田中卓志など、独身キャラとして知られていた芸人が次々と結婚している。これは芸人という職業が「破天荒な生き方」を前提としなくなったことの表れでもある。

 また、最近のお笑い界や芸能界では、私生活を切り売りすること自体の価値も下がっている。YouTubeや配信メディアの普及によって、パーソナルな部分を積極的に露出していくタレントも存在する一方で、世の中ではプライバシー保護への意識が高まっていて、タレントの日常的な部分をあれこれ詮索すること自体がマナー違反であるという感覚も強くなった。そのため、「独身か、既婚か」という単純な属性だけではキャラクターが成立しづらくなってきた。

 今の時代の芸人たちは「笑いのために独身を貫く」という呪縛から解放された。結婚しても、子供が生まれても、芸人は芸人であり続けられる。ケンドーコバヤシの場合、「父親ケンドーコバヤシ」というキャラクターとして、これから新しい笑いを生み出していくのかもしれない。時代は変わっていくのと同じように、芸人たちの生き方もどんどん変わっているのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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