「Switch2」爆売れも「任天堂株」は半年で「40%超」大暴落のナゾ…“生成AIの進化でゲームメーカーは終焉を迎える”は本当か
ゲームメーカーの終焉
任天堂が我慢して価格を据え置けば、最悪の場合「Switch2を売れば売るほど赤字」という悪循環に陥ってしまう。だが値上げに踏み切ると「Switch2が売れなくなる」懸念が生じる──。このジレンマを市場は問題視し、株価が下がったという解説だ。
だが、繰り返すが任天堂には1兆7000億円を超える手元資金がある。そして、Switch2の販売が不振ならともかく、世界中で売れているのは間違いない。
こうした点を重視し、「果たして半導体メモリの価格上昇だけが任天堂の株価が下落した原因なのだろうか?」という疑問も根強い。もっと任天堂の屋台骨を直接揺るがすような、根本的な不安材料が別にあるという見解だ。
「複数の専門家は『生成A.I.を使えば簡単にゲームが作られるようになったことも任天堂の株価、企業価値に影響を与えている』と指摘しています。1月にGoogleはAIモデル『Project Genie』を発表しました。Genieを使えば誰もが簡単に架空の3D空間を作ることができます。今のGenieにゲームを作る能力はありませんが、個人が上手に活用すればゲーム製作のハードルが劇的に下がると考えられています。Googleの発表後、『近い将来、ゲームメーカーは必要なくなる』という見解が一気に拡散しました」(同・記者)
ゲームメーカー不要論
世界的な通信社ロイターは1月31日、「Videogame stocks slide on Google's AI model that turns prompts into playable worlds」との記事を配信した。簡単な指示で3D空間を生み出すAIの誕生で、複数のゲーム企業の株価が下落したという内容だ。
株価が下落した具体的な企業名として記事では、人気クライムアクションゲーム「グランド・セフト・オート」シリーズを発売するテイクツー・インタラクティブなど数社を挙げている。
個人がAIを使ってゲームを簡単に作れる時代が到来すると、なぜゲームメーカーは必要なくなるのか。いくつかの可能性を考えてみよう。
【1】
自分が自分のために作ったゲームほど面白いものはない。これまでのゲームは“レディーメイド”だったが、AIを活用した“オーダーメイド”のゲームを楽しめる時代が来れば、ゲームメーカーは必要なくなる。
【2】
天才がAIを活用して歴史に残るような素晴らしいゲームを一人で開発できる時代になったことを意味する。昔とは異なり個人がインターネットを使って販売ルートを確保することも簡単。天才が作ったゲームを“生産直売”してもらえば、ゲームメーカーは必要ない。
【3】
AIを活用して簡単にゲームが作れる時代になると粗製濫造の懸念が生じる。“悪貨は良貨を駆逐する”の格言通り、ゲームそのものに対する信頼や興味、関心が失われる。わざわざ数万円の費用でゲーム機とゲームソフトを買う消費者も減り、ゲームメーカーは必要なくなる。
天才クリエイターとの“差”
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「AIと家庭用ゲーム機の問題は、非常に興味深く、極めて現代的な論点を提示していると思います」と言う。
だが井上氏は「AIの発達で任天堂が必要なくなるというのは、やはり少し短絡的な結論だと言わざるを得ません」と指摘する。その根拠は「天才クリエイターとAIの差」だ。
第2回【“生成AIが任天堂を脅かす”説に識者は「さすがに話を盛りすぎ」…まだまだ「AIは任天堂の敵ではない」と断言する4つの理由】では、AIと天才クリエイターの決定的な“差”について詳細に報じている──。
註:任天堂「スイッチ2」を脅かす半導体リスク、記録的販売に株価は逆行(ブルームバーグ日本語版:1月30日)
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