「ファイアー、ヘルプミー!」 都心の超一等地「ホテル・ニュージャパン」を襲った業火…消防への通報まで「空白の24分間」が生じた理由

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宿泊者を特定せよ!

 午前3時44分――麹町消防署永田町出張所の特別救助隊が、現場に最先着した。その2分後には麹町消防署指揮隊も現着。外堀通りを南進し、ニュージャパンの北側にある赤坂東急ホテル(当時)前にくると、ニュージャパンの上空が真っ赤になっているのが視認できた。「延焼中」「応援要請」が相次いで無線送信される。

 指揮車で現場へ到着した際、窓から手を振っている宿泊者を視認した麹町消防署長は、人命救助を最優先に行うことにし、8つの指揮隊の任務を速やかに指示した。救助、消火というメインの活動と並行して、困難な任務をこなしたのが情報収集担当の指揮隊だった。宿泊客、在館者の確認を最優先で行おうとしたが、整理された宿泊者名簿がない。そこで客室別に、宿泊者が自筆で書いたカードをもとに名簿を作成したが、外国人の名前の判読は困難を極め、日本人でも一人の名前だけで「ほか何名」と記されているカードも多かった。

 火災から避難した宿泊客は、隣接する赤坂東急ホテルだけでなく、700メートル離れたホテルニューオータニにも収容したが、それでも足りず、2.5キロ離れた芝パークホテルにも収容された。指揮隊はこれらホテルに出向き、避難者を確認。救急隊により病院へ搬送された宿泊客も追跡、名簿とのすり合わせを行い、行方不明者の割り出しを行った。

 これら、一連の作業が完了するまで、4時間かかったという。

【第2回は「『ここに置いた女性の遺体がない!』 昭和史に残る『ホテル・ニュージャパン』大火災…警視庁捜査一課長が気づいた“異変”の正体とは」火災調査や捜査で判明するホテル経営の舞台裏】

デイリー新潮編集部

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