「炎が体の上を吹き抜けた」「頭髪は全て焼けた」…82年「ホテルニュージャパン火災」に突入、救助隊員が遭遇した壮絶な現場

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「寿命にはかないませんでしたね」

 同じ9階の902号室に宿泊していたのは、富山県から来ていたBさん(当時56)。外壁にしがみつき、必死の思いで救出を待った。その様子は全国にテレビ中継された。Bさんの体を炎が襲うたびに、ホテルの周囲に集まった人々は悲鳴を上げる。

 ハシゴ車がBさんに近づき、レスキュー隊員が体を抱え、救出に成功した瞬間、人々の間から大きな拍手が起こった。そのBさんの家族は言う。

「本人は20年ほど前に病気で亡くなりました。せっかくあの事故で助かったのに、寿命にはかないませんでしたね」

 6階に宿泊して火災に遭遇したのは、北海道のCさん(当時45)である。

「親類の結婚式のために上京して、あの日は親戚一同20人ぐらいで泊まっていた。迷路みたいなホテルで、火事になったら危ないなあと思っていました。“火事だ”というので、逃げた。着の身着のまま、何も持たずに外に出た。とっさにエレベーターに乗っちゃいけないと、非常階段を探して逃げました。親戚は全員無事でしたが、その後、警察から調書を取られました。4、5時間かかって、まるで犯人扱いされているみたいな気分だった」

 現在のCさんは75歳。

「今は孫が生きがい。孫には火災の話はしないな。あれ以来、東京にもあまり行かなくなったね」

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 新宿の愛人宅にいて助かった――。第2回【「愛人」に命救われ94歳で大往生、23年後は「殺人犯」の元女子高生…82年「ホテルニュージャパン」火災、被災者たちのその後】では、ホテルニュージャパン火災のほか、船舶と飛行機の有名事故からも助かった強運男性のエピソードなどを伝える。

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