「政府が国民に“お小遣い”をバラまくだけ」 高市首相が訴える「消費税減税」がプラスにならない理由 「物価高対策と減税は無関係」

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【全2回(前編/後編)の後編】

 一世を風靡したツービートの名文句を彷彿とさせる選挙戦が始まった。「みんなで渡れば怖くない」とばかりに、ほとんどの政党が「消費税減税」を声高に唱える今回の衆院選。物価高騰で歓迎する声もあろうが、無責任な公約は未来への“赤信号”に等しいのだ。

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 前編では、突如として消費税減税にかじを切った高市首相の思惑について報じた。

 経済アナリストの門倉貴史氏によれば、

「与党が掲げる時限的な減税措置では、大きな効果は期待できません。2年後に食料品の価格が8%上昇するのと同じであって、物価高騰が続く場合には消費税の負担増と相まって、国民生活がさらに窮乏化してしまう恐れもあります。なによりも、一度下げてしまった税率を予定通り元に戻すのは極めて難しい。新たな問題に直面するのではないでしょうか」

 奇しくも2年後の28年7月には、任期満了に伴う参院選が予定されている。高市氏は今年秋の臨時国会で消費減税を伴う税制改正の成立を見込むとされるが、それから2年後に増税を訴え国民の支持を集められる保証はどこにもない。

 しかも、海外の市場からすでに支持を失いつつあると聞けば、穏やかではない。

 門倉氏はこうも言う。

「公約発表後、円安の加速や長期金利の上昇など財政悪化を懸念する“市場の声”が強まっているため、高市首相が選挙で勝った場合でも、消費減税は実行されない可能性さえあります」

日本売りが加速しては本末転倒

 衆院選で与野党どちらが勝とうが、消費税に手がつけば日本の財政はどうなるのか。すでに不安に駆られた海外投資家の多くが国債を売りに出し、債券相場が暴落しているのだ。

 経済部デスクが解説する。

「1月20日、40年国債利回りが4%を突破しました。5年、10年、20年といった他の年限を持つ国債の利回りも、過去30年以上ぶりの水準にまで上昇。対GDP比で260%にもなる日本の債務が、消費減税でさらに膨張するのではないか。日本政府は財政のコントロールを失いつつあると世界は見ているのです」

 海外メディアからも「サナエショック」などと報じられて焦ったのか。高市氏は「赤字国債に頼らない」と述べて、火消しに追われている。約850億円もの税金を費やして選挙を行った結果、日本売りが加速しては本末転倒だろう。

 再び門倉氏に聞くと、

「食料品の消費税率をゼロにした場合、年間5兆円の税収ロスが発生するとの試算があります。この財源を赤字国債の発行で調達すれば、財政悪化懸念から円安が加速し、輸入物価上昇を通じて物価高騰に拍車がかかってしまう。場合によっては、円安による食料品やエネルギーの価格上昇が、減税による消費者への恩恵を相殺してしまう可能性もあり得ます」

 さらには市場からも放漫財政との評価が下れば、悪循環は止まらなくなる。

「財政悪化懸念から長期金利が上昇し、借り入れコストの増大により企業の設備投資にもマイナスの影響が及んでくる。それを防ごうと選挙後に与党が消費減税を実行しなければ、今度は国民の政権に対する信頼が揺らぎ、失望感から消費マインドが悪化してくる恐れもあります」(同)

 果たして消費減税を公約に掲げてしまえば進むも地獄、引くも地獄といった未来が待っているということか。

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