阪神・佐藤輝明の契約交渉も長期化…ポスティングで揉める理由 編成担当者は「責任を追及されかねない」

スポーツ 野球

  • ブックマーク

思ったより大型契約にはならないというケースも

 もう一つ原因として挙げられるのが選手間のネットワークだという。

「携帯電話やSNSが普及したことで、以前と比べて他球団の選手とも繋がりを持ちやすくなり、自主トレなどを一緒にする選手も多くなりました。そうなると選手同士で当然様々な情報交換をしますし、ポスティングやFAなども話題に出るでしょう。その流れで早くから代理人と契約する選手も増えました。代理人からすれば、高額な契約を勝ち取ることが仕事ですから、早くからメジャーと契約することを勧めてきます。最近ではドラフトで指名された時点から、メジャー希望を伝える選手も出てきました。大谷翔平や佐々木朗希(ともにドジャース)などはその典型ですよね。ただ、彼らのような選手は球団としてもある程度想定していますが、突然メジャー希望を言い出す選手も増えているようで、そういう選手は他の選手や代理人の影響が大きいです。また次のオフにも新たに揉める選手が出てくると思います」(前出の編成担当者)

 しかし、ようやくポスティングで移籍が認められても全員が好条件で移籍できるわけではない。前述の上沢はマイナー契約での移籍となり、このオフにポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指した高橋光成(西武)は結局、好条件を得られずに残留となった。その要因について、あるMLB球団のスカウトはこう話している。

「MLBでは近年FAになった選手の交渉が長引くことが多く、NPBから移籍してくる選手でもドジャースの山本由伸クラスの実績がないと、どうしても優先順位は低くなります。それに加えて、ポスティングシステムの場合は交渉可能な期間が短く、代理人としても交渉しながら条件を上げていくということも難しい。思ったより大型契約にはならないというケースが増えていますね」

 実際、このオフにポスティングシステムで移籍した村上宗隆(ヤクルト→ホワイトソックス)は2年契約、今井達也(西武→アストロズ)も3年契約ながら1年ごとに契約を破棄できるオプトアウト付の内容となっている。

 これは実績を残して早期にFAとなれば、さらに大きな契約を結べるという戦略と言えるが、怪我で長期離脱した場合は大きなリスクとなる。そういう意味では、選手もどのタイミングでポスティングシステムを利用するかは重要な問題と言えそうだ。

 ただ、大谷や山本の活躍と契約内容を見れば、早くからMLBを目指すという決断を下す選手が増える可能性は極めて高い。そんな中で各球団がどのような判断を下し、戦略をとっていくのか、チーム強化にとってより重要になることは間違いないだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。