抗議者を二度射殺、捜査官による尋問・連行が日常化…トランプ政権が「不法移民対策」を軌道修正、人口と労働力が減る米国は「再び偉大」になれるのか

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「真のMAGA戦士」が完敗

 トランプ米大統領の神通力が衰えている感がある。

 テキサス州で1月31日に行われた州議会上院議員選挙では、民主党候補が2桁(14%以上)の差で勝利し、共和党から数十年ぶりに議席を奪った。トランプ氏は共和党のワンブスガンス候補を「真のMAGA(米国を再び偉大に)戦士だ」と称賛し投票を呼びかけたが、功を奏さなかった。

 民主党は過去数カ月間、全米各地の地方・州選挙で勝利し、11月の連邦議会中間選挙に向けて幸先の良い展開となっている。背景にあるのは、米国民の景況感の悪化だ。

 コンファレンス・ボード(民間の非営利調査機関)が発表した1月の消費者信頼感指数は、前月比9.7ポイント減の84.5に低下し、2014年以来の低水準となった。経済環境と労働市場に対する悲観的な見方が主な要因だ。

 インフレ率は鈍化しているが、物価水準は相変わらず高い。消費者が値上げに難色を示しているため、米企業の多くは値上げできず、利益率が悪化している。リストラの動きが強まる中、人工知能(AI)の急速な普及による雇用喪失の懸念も高まる一方だ。

共和党からも真相究明を求める声

 トランプ陣営も巻き返しに躍起だ。トランプ氏は1月27日、アイオワ州で中間選挙を意識した遊説を開始したが、自身の経済政策を有権者にアピールできないでいる。

 聴衆の関心が生活苦の問題にあるにもかかわらず、トランプ氏の話には本題からそれてしまう傾向があるのが難点だ。トランプ氏が問題そのものを否定する姿勢をとっていることも災いして、期待通りの成果を挙げていないのが現状だ。

「泣き面に蜂」ではないが、トランプ政権はさらなる難問に直面している。米中西部ミネソタ州ミネアポリスで、連邦捜査官が2度にわたって抗議者を射殺した事案について、民主党だけでなく共和党からも真相究明を求める声が高まっている。

 事態を重くみたトランプ政権は、看板政策(不法移民対策)の軌道修正を余儀なくされている。トランプ政権の国境対策を統括するホーマン氏は1月29日、現地で会見し、同州で移民を取り締まる連邦捜査官の人数を縮小し、犯罪歴のある不法移民などに的を絞った摘発方針を示した。

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