抗議者を二度射殺、捜査官による尋問・連行が日常化…トランプ政権が「不法移民対策」を軌道修正、人口と労働力が減る米国は「再び偉大」になれるのか

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小売店従業員の尋問・連行が日常化

 移民対策が経済活動の足かせになっていることも気がかりだ。

 1月31日、第2次トランプ政権発足後2度目の政府閉鎖となった。ミネソタ州における混乱を理由に、民主党が国土安全保障省の予算の執行に待ったをかけたからだ。

 今回は昨年秋と異なり、短期で終了すると見込まれているが、度重なる政府閉鎖は米国の経済活動にとってマイナス以外の何ものでもない。

 移民対策は現地の経済活動の大きな障害にもなっている。ミネアポリスは移民に寛容なリベラルな地域性が幸いして、全米有数の商業都市に成長した。ターゲットやベストバイなどの米小売り大手が本拠地を置いている。

 だが、現在、ICE(移民・税関捜査局)や国境警備隊による小売店従業員の尋問・連行が日常化している。これに嫌気が差した市民が外出を控え、最低限の買い物しかしなくなっている有様だ。

 小売り大手は事態の改善を求めたいが、トランプ政権は政府の方針に異を唱える企業に容赦なく介入するようになった。そんな政権ににらまれるのはなんとしてでも避けたいのが本音だ。

移民減少と労働力不足の関係

 移民政策が米国の今後に暗い影を投げかけていることにも注目すべきだ。

 米国政府は1月27日、昨年6月末までの1年間で、米国の人口は180万人(0.5%)増加し、3億4180万人となったと発表した。人口増加率は前年の1%から半減し、米史上最低の人口増加率を記録した新型コロナウイルス禍の2021年の0.2%に次ぐ低さとなった。

 トランプ政権の移民規制が主な要因だ。出生数と死亡者数が前年と比べて安定しているのに対し、純移民数(入国した移民から出国した移民を差し引いた数)は約130万人と、前年の約270万人から半減した。

 トランプ政権は今年に入り、75カ国からの移民受け入れを停止するなど規制をさらに強化した。そのため、来年の純移民数は約32万人に落ち込むと予測されている。

 米国では建設業界などの労働力不足が顕在化している。この現象が幅広い分野に波及すれば、米国経済の成長の足かせとなるのは間違いないだろう。

人口減少の米国は“偉大”と言えるか

 移民減による労働力不足をAI搭載ロボット(AI移民)で解決できるという論調が出ているが、不十分な議論だと言わざるを得ない。ロボットをいくら作っても人間のように需要が増えないため、現在の中国のような深刻な需給ギャップが米国でも生ずる危険性があるからだ。

 米議会予算局は1月上旬、移民の流入を除くと人口は2030年から減少に転じるとの推計結果を示した。1年前の試算を3年前倒しした形だが、トランプ政権の移民政策で米国の人口減少が現実味を増していると言っても過言ではない。

 トランプ氏はMAGAを主張し続けているが、人口が減少する米国を再び偉大になったとは到底言えないだろう。悩める超大国の今後の動向について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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