元夫から不倫相手と対峙した居酒屋に呼び出され… 菊地凛子が“サレ妻”を熱演
不倫が原因で離婚した夫婦が1年ぶりに会う。というか、不倫した夫・幸助(錦戸亮)に呼び出され、妻のみつ子(菊地凛子)がしぶしぶ向かったのは普通の居酒屋。何の変哲もない店だが、その名も「居酒屋 法螺吹き」。実は1年前に夫と不倫相手のリコピンことヨダマリコ(中田青渚)と対峙した因縁の店だ。セレクトが無神経な上に、呼び出しておいて遅刻した夫は悪びれる様子もなく、妻をいら立たせる。そんな始まりのドラマ「嘘が嘘で嘘は嘘だ」が面白い。最近はやりの多ジャンル盛り過ぎごった煮系。ヒューマンラブサスペンスサイコホラーシチュエーションコメディとの看板に嘘はない。
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30分枠が丁度いいと思うくらい濃厚な会話劇はハイレベルな夫婦漫才級。不倫した割に自責の念も罪悪感もゼロの夫(ボケ)と、俊敏に否定もしくは揶揄する語彙力はあるが、案外ほだされやすく、すぐ謝りがちな妻(ツッコミ)のやりとりは、テンポがいいだけではなく、じわっと痛いところを突いてくる。とげというか、魚の小骨感のような。夫婦間の自己主張するほどでもないが微妙な趣味嗜好の差、さまつな亀裂だが案外根の深い溝を巧みに表現したセリフがこれまたツボでね。
大きなテーマである「嘘」についても、珍解釈や都合の良い表現がこんなにもあったかと納得しちゃったよ。
さて、この夫婦の酒席に闖入してくるのが自称・元結婚詐欺師の中村信(塩野瑛久)。彼は詐欺と整形を繰り返し、自分でも元の顔が分からなくなったとふざける。3500万円かけて変えた顔にもういじるところがないという設定に、美形の塩野がしっくり。実はリコピンから金をだまし取ったが、逆に「結婚してくれないならSNSに卒アル(卒業アルバム)の写真を拡散する」と脅迫されている。
中村は夫婦の会話を聞いて、リコピンを恨んでいるみつ子と利害一致、手を組もうと声をかけてきたわけだ。
さらに、側頭部から流血しながら店に入ってきたのは、自称新潟県警捜査1課の刑事・並木正義(竹原ピストル)。雪道で転んだというが、どうも嘘が匂う。並木もしれっと同席するが、リコピンを捜査対象としているのか、あるいは個人的な好意や執着があるのか、こっちもリコピン関係者という偶然。偶然は必然、居酒屋 法螺吹きにうっかり集結しちゃったという展開。
基本的に嘘が大嫌いなみつ子、嘘も方便で優しい嘘や悲しい嘘もあると主張する幸助、嘘で塗り固めてきた中村、嘘を暴かなければいけない職種(のはず)の並木。嘘の匂いがぷんぷん漂う四人が、嘘を肴に酒を酌む一夜限りの酒宴の結末はどうなることやら。法螺吹きの近くで起きたひき逃げ事件との関連も気になるし。
四人とも実に適温で適役。特に菊地凛子のさじ加減は絶妙。切れ味のあるツッコミは知的でシニカル、それでいてサレ妻の悲哀もきっちり含ませながら、自虐方向に走りがちな自己評価の低さ(厄介!)も抱えている。みつ子が主人公で、別のドラマも見てみたいと思った。ぜひ月9でやってほしいわ。








