志田未来、32歳の今も放つ“別格”の存在感 伊藤沙莉も一目置く「天才子役」の進化に脱帽

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変わらぬ志田のうまさ

 出演陣にはうまい人たちが揃い、適材適所に配されている。特に志田。子役としては紛れもなく天才だったが、今も抜きん出た存在だ。

 動作やセリフに不自然さが欠片もない。また、感情を小さな仕草でも出せてしまう。たとえば、やや気落ちしているときは、肩をほんの少しだけすぼめる。

 日本テレビ「ホットスポット」(2025年)のスナック従業員役など脇役のときには、あまり目立なくしている。だが、主役になると、画面から抜け出てくるような存在感を見せる。体の動きをやや大きくするなど演技を変えているからだ。

 同じ世代のトップランナーの1人・伊藤沙莉(31)は、10年以上も志田を意識していたという。それもうなずける。女優同士でも気になる演技だろう。2人はお互いに10代前半の子役だったころ、日テレの名作「女王の教室」(2005年)で共演した。志田は当時からスターだった。

 颯太を演じている天野優(5)はやたらと評判がいい。志田と同じで、動きとセリフが演技と思えないからだ。子供らしい動きをする。

 お腹が空くと、うずくまる。眠くなると、いきなり寝てしまう。大好きなオムライスを喜色満面で食べる。

 ドラマ出演は2作目。「日曜劇場 19番目のカルテ」(2025年)にも出ていた。もっとも、患者役の子供で、役名もなかったから、この作品が本格的なデビュー作である。

 視聴者が共感しそうなポイントが多い作品でもある。まず子供にとって両親のケンカは悲しい。ときには懸命に仲直りさせようとする。また、最近のドラマは大半が無視してしまうが、20代にも年齢による焦りはある。それを丁寧に描いている。

 子育てに悪戦苦闘した日々を思い出す人もいるだろう。実はそれが楽しいものだったことにもあらためて気付かせてくれる。

 タイムスリップには現実味がないが、作品全体にリアリティを出すことには成功している。未来の子育てや貧乏暮らし、劇団活動の描写が真に迫っているからだ。リアリティのない作品は拘りが足りない。

 未来が颯太と親子になっていく物語である。フジテレビの名作「マルモのおきて」(2011年)を彷彿させる。あの作品は冴えないサラリーマン(阿部サダヲ)が、親友の双子の子供(芦田愛菜、鈴木福)と家族になっていく物語だった。家族とは何かを考えさせた。

 2つの作品に共通点を感じるのは当然である。「未来のムスコ」の原作漫画のストーリーは「マルモのおきて」の脚本家・阿相クミコ氏が書いている。悪党が登場せず、温かい雰囲気が漂っているところも一緒だ。

「マルモのおきて」は口コミで徐々に高い評価が広まった。「未来のムスコ」も同じ形でヒット作になっていくと見ている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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