「ヤクザ捜査でもオートロックを勝手に突破してはダメ!」 大阪府警敗訴の報は「6代目山口組・司忍組長」に

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子供にも声掛け

 電話に出なくなったことへの焦りもあったのだろうか、そこから警察官の「共連れ」作戦が始まった。実行されたのは一度や二度ではないという。

 ある時はマンションの共同玄関前でA子さん宅のインターホンを押すことなく、他の住人が正面玄関の自動ドアを通過するのに従ってマンション内に。またある時はA子さんの子供にもくっついて[共連れ」を行い、エレベーターに乗り合わせたその子供に話しかけ、A子さんを呼び出すように依頼も行っている。その後は相棒の警察官と協力して、他の住民の手引きを受ける形でマンションを自由に出入りしたり、部屋のある階に数時間滞在したり、A子さん宅のインターホンを鳴らしたり、何度も電話したりしたが、接触することはできなかった――。

 A子さんは今回の判決で認められた共連れ以外に捜査の結果、Bとの内縁関係が破綻したとの主張も展開していたが、これは国賠上違法とは認められなかった。

 社会部デスクの指摘。

「A子さんは6代目山口組と神戸山口組との抗争事件に全く関与しておらず、被疑者でもなく、どういった理由があるにせよ任意捜査でオートロックを無断で突破するほどの必要性や緊急性はないと判決は断じました」

司組長への報告は

「ヤクザの抗争事件の捜査だから、多少無茶をしても構わないと思い、警察官のタガが外れた部分があったのかもしれませんが、A子さんの子供を事前に確認したうえで子供がマンションに入るのに共連れし、その後に話しかけるなどしている点には“そこまでやるのか”と驚きました」(同)

 ところで、この判決の3日後の25日、6代目山口組・司忍組長(84)の誕生会が10代目瀬戸一家(愛知県瀬戸市)で開かれた(写真参照)。ボルサリーノのハットにジャケット、ストールとサングラスといういでたちの司組長を礼装の竹内照明若頭以下幹部が出迎えた。ここでも今回の「国賠での勝訴」が話題に上ったのだろうか。A子さんが吉川若頭と連動して訴訟に臨んだ可能性は極めて低いようだが、司組長ら弘道会出身者が支配する6代目山口組の立場からすれば“自分たちが国家と戦っている”との思いも少なからずあったかもしれない。そのあたりを内部の関係者に聞いてみると……。

竹内若頭の胸中は

「事件当事者である吉川若頭の親分である10代目稲葉地一家の松山猛総長(4代目弘道会舎弟頭)が判決直後に事実を把握し、その翌日に新聞記事と共に松山総長から4代目弘道会の野内正博会長に口頭報告。さらにそれが4代目弘道会の竹内照明総裁(6代目山口組若頭)にも口頭で伝えられた。誕生日当日には判決の詳しい中身を把握できていないため司組長には伝えられておらず話題には出ていないが、情報を共有した弘道会の面々は判決結果にホッとした様子だった」

 大阪府警の捜査手法をめぐっては、最近、別の問題も明るみに出ている。

 全国最大規模の風俗スカウトグループ「ナチュラル」の関係先を捜索中に捜査4課の捜査員が捜査対象者らを暴行したとされる事件が昨年7月に発生。暴行に関与するなどした捜査員ら12人を懲戒処分とし、うち2人は免職とする処分を今年1月に発表した。この2人は特別公務員暴行陵虐などの罪に問われ、1月26日、共に執行猶予付き有罪判決が大阪地裁で下された。暴力団排除もさることながら、「ナチュラル」は匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)と目され、その摘発は社会の一大関心事となっており、国民や捜査当局上層部の期待も大きい。

 暴力団にせよ、トクリュウにせよ、捜査対象側の犯行やガードの技術は向上する一方で、警察側はどうしても法律を守らねばならないという縛りがある。そのジレンマが露呈した裁判だったと言えるのかもしれない。

デイリー新潮編集部

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