「給食無償化」に賛成の人は「1食あたり260円」で充分と考える? 食材が高騰する中、専門家があえて“給食費値上げ”を説く理由

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 衆議院は1月23日に解散され、衆院選は2月8日投開票の日程で実施される。2026年度予算案の審議は“後回し”となり、今年度中の成立は極めて難しい。これに批判の声も決して少なくない。高市早苗首相もそれは覚悟していたようで、1月19日の記者会見では暫定予算の編成にも言及。さらに4月から始まる「小学校の給食無償化」は《あらゆる努力をして、実現してまいります》と強い意欲を示した。(全3回の第1回)

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 今回の衆院選で「給食無償化」は争点になっていない。4月からの実施は多くの有権者に既定路線と受け止められているようだ。担当記者が言う。

「1990年代にバブルが崩壊し、日本はデフレ経済に苦しみました。いわゆる“失われた30年”です。ところが2021年の後半から物価は上昇に転じ、今の日本人はインフレ経済に苦しめられています。一部の業界や大手企業では賃上げが実施されていますが、物価の上昇スピードのほうが早いので実質賃金が伸びません。“日本人の貧困化”は深刻な社会問題として浮上しており、我が子の食費すら捻出できない家庭も珍しくないのです」

 子育てのコストに苦しむ家庭にとって小学校の給食は、文字通りの“セーフティーネット”だ。

「夏休み前になると、多くのメディアが『シングルマザー世帯など困窮家庭では、長期休暇中の我が子に昼食を用意する金銭的余裕も時間もない。そのため子供は欠食状態になってしまう』という記事を報じることが珍しくなくなりました。また中流層や富裕層も給食費が無料になって怒る人は稀でしょう。そのため4月から始まる予定の給食無償化は正しい政策として認識されており、今回の衆院選では争点になっていないのです」(同・記者)

Xに給食無償化反対の投稿

 ところが、である。SNSのXなどネット上の言説を丁寧に見ていくと、意外にも「給食無償化反対」の意見はかなりある。さらに給食の問題に詳しい専門家も安易な無償化には懸念を示してきた。まずはXの投稿を見てみよう。

《日本の公立学校給食、ほんと質素になってます(中略)給食の無償化は反対です》

《自分の子どもの給食費や学費は払います!だから社保税なくせってだけの話》

《給食費無償化って、実は反対している保護者もけっこういたりする》

 昨年の12月、新聞やテレビなど大手メディアは「給食無償化を巡り、自民、日本維新の会、公明の3党は制度設計について合意した」と報じた。だが、3党より共産党のほうが先に給食無償化を訴えたことをご存知だろうか。

 そのため維新の吉村洋文代表は大阪府知事だった2019年、自身のX(当時はTwitter)で給食無償化の問題で共産党に噛みついたことがある。

《学校給食無償化は共産党の主張!》と投稿。共産党は財源を無視していると批判し、《僕は給食費はお金がある世帯には負担してもらい、経済的に厳しい世帯を支援する考え》と自説を披露していた。

 現在の吉村氏は前言を撤回したと考えられるが、皮肉なことに吉村氏の前言が間違ってはいないという声もあるのだ。

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