“高梨沙羅の独壇場”を揺るがす女子ジャンプ「丸山希(27)」の衝撃! 冬季五輪で最注目“遅咲きのヒロイン”を変えた「2025年夏の覚醒」

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大きな覚醒が

 ここからは、いま丸山の指導をしている北野建設スキー部の横川朝治監督の話を紹介しよう。横川は、2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪のスキー日本代表コーチを務め、その明晰な技術解析と指導力でメダル獲得を演出した指導者だ。前回の北京冬季五輪では女子スキー日本代表のヘッドコーチを務めた。

 ケガから復帰した丸山が見据えてきたのは、最初から3年後のミラノ五輪だったのか?

「一般のみなさんはオリンピックばかり注目されますが、私たちは毎年W杯を転戦しています。2年に一度の世界選手権もあります。だから大きな目標という意味では、まずは2023年の世界選手権でした」

 スロベニアのプラニツァ大会。丸山は個人ノーマルヒル8位、個人ラージヒル4位。惜しくも表彰台は逃したが、「ラージヒルでは日本人1位でしたから、確かな手ごたえがありました」。そして、大きな覚醒が2025年夏にあったと教えてくれた。

「一番の進化は去年の夏。一気に変わりました。足裏の意識が変わった。いろいろな方法でトレーニングを重ねて来て、『ここだな』と本人が見つけたのが去年の夏でした」

 足裏の意識とは、横川がずっと指導の核心にしている手がかりだ。スキーに乗る足裏の意識・重心をどこに置くか。「重心が爪先でもなく、かかとでもなく、真ん中に来るとスキーが速く滑る。グッと加速するのを選手は身体で感じます」

 その真ん中をつかむために、例えばビー玉を入れた箱の上に板を置いてその上に乗るトレーニングを繰り返し行う。重心が定まらないとグラグラする。が、足裏の真ん中で立てるとピタリと静止し微動だにしない、そういうポイントが足裏にあるのだという。

「言葉にすれば、土踏まずのど真ん中。母指球、小指、かかとの真ん中。それが身体でわかるかどうか」

 その感覚をつかんだ丸山は、夏のジャンプシーズンで見違える結果を出した。「FISサマーグランプリ」で総合優勝。世界で戦えるジャンパーに変身した。「その好調を冬のシーズンにつなげられたらいいな」と自他ともに期待する中、見事W杯開幕3連勝を飾った。

まだ何メートルも飛べるぞ

 ミラノ・コルティナ五輪、女子ジャンプの個人ノーマルヒルは2月7日、混合団体が10日、個人ラージヒルは15日の予定だ。

「オリンピックはW杯や世界選手権と同じ。いくつもある大会のひとつ」と、自然体を強調する横川コーチだが、日本中が五輪の表彰台を願うのは当然でもある。

「ニカ・プレヴツというとんでもない選手がいますからね」と横川が言う。スロベニアのニカは20歳。十代で世界の舞台にデビューすると、2024-25W杯で15勝をマークして総合優勝。最終戦まで10連勝を飾り、高梨の記録に並んだ。2025年世界選手権(トロンハイム)では個人ノーマルヒル、個人ラージヒルの二冠を制した。かつての高梨を彷彿とさせる勢いのある天才ジャンパーだ。丸山にとっては最大のライバル。

「丸山は体重が軽いので、あまり風を感じない気象条件の方が有利でしょう。重さのあるニカはアプローチではスピードが出やすい。空中は軽い丸山に分がある」

 着地の際、テレマーク姿勢を取るタイミングも課題のひとつだった。

「(飛ぶのを)やめるのは早い! まだ何メートルも飛べるぞ、とずっと言って来ました。それが着実にできるようになってきた。初めてのオリンピックだから、チャレンジャー精神で臨んでほしい」

スポーツライター・小林信也

デイリー新潮編集部

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